”EVシフト” 大変革で、活躍フィールドが広がるエンジニア | エンジニアワークス

EVシフト”大変革で、活躍フィールドが広がるエンジニア

自動車(完成車)メーカーは3〜5年後に発売される新型車の開発にあたり、各部品の製造をサプライヤー企業にアウトソーシングしています。例えば、クルマの心臓部にあたるエンジンだけでも約1万の部品で構成されていますし、クルマ全体で見ると材料、形、仕様が異なる約3万〜10万もの膨大なパーツで構成されています。

世界の競合を退け、販売台数ランキングで第1位(952万8438台/2020年)に君臨するトヨタ自動車(以下トヨタ)の場合、トヨタ・レクサスブランのパーツ製造を請け負う主要関連会社や子会社は16社となり※、さらに一次サプライヤーは約6091社※、間接取引を行う二次サプライヤーになると約3万2572社※にのぼる規模に。

これら膨大な企業の力が結集したときに初めて1台のクルマが完成することになりますが、購入者の手元にクルマが届くまでの材料調達、製造、流通、販売の全工程を「サプライチェーン(供給連鎖)」と呼び、国内だけでもトヨタグループサプライヤー企業の集積度(社数上位の10都府県)は以下のマップのようになり、世界第1位のスケールを実感できるものとなっています。

※(株)帝国データバンク 特別企画 :「トヨタ自動車グループ」下請企業調査(2019年)より

自動車サプライヤーに押し寄せる“EVシフト”の荒波

マレーシアの半導体サプライヤーがコロナウイルスの感染拡大によって稼働停止に追い込まれたことで、北米、欧州、日本でのクルマの製造ラインがストップ……。
そんな報道に触れたとき、私たちはクルマの各パーツが世界各国で製造されていることを実感することになりました。半導体はカーナビ、オーディオ、ドライブレコーダ、ETCをはじめ、モータ、パワーウインドウ、ワイパー、メータ、アクセルペダル、衝突軽減ブレーキなど、1台のクルマに300〜400個使用しているため、供給が滞れば生産停止もしくは減産を余儀なくされます。

さらに感染が拡大したベトナムでロックダウンが実施された際は、ワイヤーハーネス(組電線)の供給が停止する事態に。ワイヤーハーネスは「クルマの神経や血管」ともいわれる重要なパーツであることから、供給停止によって自動車サプライヤーの操業が不安定になり、日本では予約から納車まで「1年待ち」という現象も発生しました。

世界中の人々の暮らしや経済活動に甚大な影響をおよぼしたコロナ禍ですが、実はパンデミック発生以前から、かつてないほど強くて大きな荒波が、世界の自動車業界に押し寄せていることをご存じでしょうか。

その荒波とは、自動車の電動化 = “EVシフト”なのです。

—— 日総工産(株)の人材育成 ——

21世紀初頭を象徴する存在となったハイブリット車

ここで、時計の針を20年ほど巻き戻してみましょう。

自動車業界の革命と称された初代プリウスが発売されたのは1997年のこと。世界最高峰の環境性能はまたたく間に注目を浴び、環境問題に敏感な人がステータスとしてプリウスに乗ったり、ハリウッドスターが愛車のプリウスを自ら運転する姿がマスコミに取り上げられるなど、ハイブリッド車(以下HV車)は21世紀初頭を象徴する存在となります。
その後、日産、ホンダ、スズキも環境とお財布にもやさしいHV車を続々と市場に投入したことで、2009年に約53万台※1だったHV車新車販売台数が、2019年には約845万※1と、わずか10年で市場シェアを約16倍に拡大します。

※一般社団法人 自動車検査登録情報協会 ハイブリッド車・電気自動車の保有台数推移より

そんなHV車が、世にお目見えして二十有余年……。世界最高峰の環境性能といわれたHV車はご存じの通り、エンジン(ガソリン)とモーター(電気)の2つの駆動システムを採用しているため、二酸化炭素(以下CO2)排出量はゼロではありません。

そしていま、気候変動の要因になっている温室効果ガスの増加により、「50年、100年に一度」クラスの激甚災害が世界各地で頻発。CO2排出量全体の80%以上を占めるクルマのCO2排出削減が、地球希望での喫緊の課題となっています。

そうした背景を受け、一例としてコンパクトカーの車両開発ノウハウが欲しいトヨタと、環境対応の電動技術で後れをとったスズキは、自社の弱点を補完するため協業関係を構築するなど、続々と世界の自動車メーカーは合従連衡を加速しています。

こうした動きとともに世界の群雄割拠は“脱ガソリン”へと大きく舵を切り、ジャガーが2025年、アウディが2026年、ボルボ・カーとメルセデス・ベンツが2030年、ゼネラルモーターズが2035年、フォードが欧州市場限定で2030年と、EV専業化のターゲット年を続々発表しているのです。



EV・PHV普及率が1%に満たない、EV後進国・日本

日本では、初代EV「リーフ」を発売(2010年)した日産が、国内の先陣を切って“EVシフト”へ軸足を置いたものの、それ以降も日本は「EV後進国」のレッテルを張られ続けてきました。しかし、約10年後の2021年4月、ホンダの三部敏宏社長は「2040年までに世界で発売する全新型車をEV、FCV(燃料電池車)にする“脱エンジン宣言”を表明。

そして2021年12月、ついにトヨタが動きます。
「バッテリーEV戦略発表会」に登壇した豊田章男社長は「2030年までに30車種にバッテリーEVを展開し、グローバル販売台数を年間350万台とする」とし、 “EVシフト”への戦略転換を世界に表明したのです。

ここで日本のEV普及率(2020年の燃料別新車の販売台数)を見てみましょう。結果は下グラフの通りとなり、EV、PHV普及率ともに約0.59%という驚きの数値に!
これでは「EV後進国」といわれても仕方ないといえますが、右にあげた5つの要因が普及しない理由とされていて、官民あげての早急なインフラ整備が待たれる状況にあります。

“EVシフト”で、優秀なエンジニアほど引く手あまたに

馬や馬車が移動手段だった時代から、古い映画に登場する「Tフォード」が1900年初頭に誕生してから100年余り……。群雄割拠が続々と名乗りをあげる“EVシフト”は、まさに「100年に一度のエネルギー大変革」であり、この大変革を支える立役者こそエンジニアにほかなりません。

目下のところ、世界の自動車メーカーはEVの生産体制整備や、技術・ビジネスモデルの解体・再構築に総力をあげており、今後は小ネジ、ガラス、タイヤ、内装品などあらゆる部位の軽量化にかかる研究開発が、自動車サプライヤー間で熾烈をきわめるといわれています。

また、鉄よりアルミ、アルミより樹脂、樹脂より炭素繊維といった具合に、世界のサプライヤーは骨格やボディの材料領域の研究開発にこれまでしのぎを削ってきましたが、“EVシフト”が本格化すれば「軽くて加工しやすいけれど、衝撃に耐えうる頑丈さ」という相反する性能を備えた新素材の研究開発に、いま以上に拍車がかかるでしょう。

そのほかにも“EVシフト”大変革により、自動運転、半導体、インバータ、電気・電子、制動、デザイン等の多領域で、他業種で活躍するエンジニアの知見を求める動きが顕在化するとの予測も。

何より、電池・バッテリー・モータの機能性がEVの優位性に直結する点からも、駆動源の動力を効率化する機構・放熱システムの開発設計を専門とする機械系エンジニアをはじめ、バッテリー制御エンジニア、モータ・リチウムイオン電池エンジニア、回路設計エンジニアなどの専門技術が自動車業界に求められることは確実でしょう。

実際に、自動車サプライヤーの研究開発部門に他業種から引き抜かれたエンジニアも多数存在するなど、今後は優秀なエンジニアほど引く手あまたになることは必至であり、そうしたトップエンジニアによる新素材開発成功の報せが、明日のトップニュースを飾るかもしれません。

—— 2022年1月5日、ソニーグループが春頃に新会社「ソニーモビリティ」を設立し、EV市場への本格参入を発表。ソニーと同様にEV市場への異業種参入が相次げば、「製造業」から「サービス業」の色合いが濃くなる可能性もありますし、さらに「マイカーを所有する」から「シェアする」へとクルマの価値観が様変わりするかもしれませんね。

そんないまこそ、常識にとらわれず“未来の乗り物”を創造できるエンジニアが、時代にもっとも求められている存在なのかもしれません。

日総工産の強み コラム①

POINT 1 日総工産(株)の人材育成

全国各地の拠点で、実情に合わせた人材育成を実施!

下記のテクニカルセンターやトレーニングセンターにおいて、 共通のコンセプトと、一人ひとりの実情や希望に合わせた独自 のカリキュラムにより、人材育成に取り組んでいます。

■テクニカルセンター
宮城県栗原市、長野県岡谷市、福岡県豊前市

■トレーニングセンター
北海道苫小牧市、群馬県太田市、神奈川県横浜市、愛知県豊田市、静岡県浜松市

日総工産の強み コラム②

POINT 2 日総工産(株)の取引実績

自動車関連サプライヤーとの取り引きが豊富!

全国各地の大手自動車関連サプライヤーに日総型の新しい請負・派遣を提供しており、お客様の約9割が上場企業です。

■主な取引先
キオクシア(株)・トヨタ自動車(株)・トヨタ車体(株)・ダイハツ工業㈱
日産車体九州(株)・トヨタ自動車九州(株)・フォルシア・ニッパツ九州(株) ほか

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