私たちは普段の生活で「回路」そのものを目にすることはめったにありませんが、最も身近なところでは、壁に設置されたコンセントをはじめ、照明、冷蔵庫、エアコンなどのさまざまな家電にも回路は多用されています。
そこでまずは、「回路」という言葉からその特長を探っていきましょう。
「回(まわ)る路(みち)」という漢字から推測できる通り、「回路」は次のような意味があります。
「回路」…… 流体やエネルギーなどが流れるひとまわりの通路のこと
または、エネルギーや物質などが出て、再び元の場所に戻るまでの道筋
回路の言葉を表す意味を考えたところで、今回はものづくりの最前線で活躍し、非常にニーズが高い売り手市場の回路設計エンジニアの仕事、やりがい、適性、年収などをご紹介していくことにしましょう。
壁に設置されたコンセントを例にとるとわかりやすいのですが、コンセントにプラグを挿し込むと家電は動きますよね。でも、多くの人が2つの縦長の差込口(穴)にこだわりなくプラグを挿し込んでいると思いますが、実はコンセントの2つの縦長の差込口には、異なる役割があることをご存じでしょうか。
差込口の左右は「コールド」と「ホット」に分けられています。
「コールド」…… 電気を家電や機器に流す(供給)場所
「ホット」……… 家電や機器を通った電気が帰ってくる場所
この違いを「全然知らなかった!」という人は、コンセントの縦長の差込口を注意深く見比べてみましょう。微妙に長さが異なることがわかるはずです。
図のように、配線工事時のミスさえなければ、通常は左側の差込口が少し長く、右側が少し短くなっています。もちろん、そうした違いを知らずにプラグを挿し込んでも、家電をはじめとする電気機器や製品は問題なく稼働しますが、次のような方はぜひプラグを挿し込み方を見直してみてください。
●高性能&高価格のオーディオ機器やAV機器を使用する人
●PC等の精密機器や、ADSL・ブロードバンド回線を利用する人
オーディオ機器やAV機器の愛好家にとって、正しいプラグの挿し込み方はキホン中のキホンともいえる基礎知識であり、「ホット」と「コールド」へプラグを正しく挿し込むことで、「サウンドの透明感が増す」「微小な音がクリアに聴こえる」「音の立体感が増す」「音の余韻が増す」といった機器の性能が最大限に発揮されるのです。
つまり、こうした素晴らしい性能を支えているのが「回路」なのですが、性能の根幹である回路の機能がフルに発揮されない場合や、音楽を楽しんでいるときにわずかにノイズ音が聴こえる……といったささいな不具合がある場合は、プラグの挿し込み方を確認してみましょう。「ホット」と「コールド」に正しく挿し込み直すだけでノイズが解消された!というケースも、これまで数多く報告されているんですよ。
さらに「ホット」と「コールド」へプラグを正しく挿し込むことで、4K・8K放送やBlu-ray、PC等の精密機器の動作や機能性が向上するほか、ADSL・ブロードバンド回線でも通信速度の向上が期待できるといわれています。気になる方は、この機会にプラグの挿し込み位置が正しいか、ぜひ確認してみてくださいね。
ごくごく身近に存在する回路を例にとったところで、本題の回路設計エンジニアにまつわる“あれこれ”をご紹介していきましょう。
まず “アナログ”と聞くと、デジタルより古い技術であり、ニーズは低いのでは?……と考える人も多いかもしれません。
実は、最新のデジタル家電にもアナログ回路は多用されていて、小型化や高性能に従ってアナログ回路技術がより高度化され、回路設計エンジニアの間でも「アナログ回路設計は難しい」と言われているほどなのです。
実際に、IT化が進むにつれてさまざまな機器・製品の機能がアナログ回路からデジタル回路にスイッチングしていきましたが、実はそうした過程を経ても、センサ回路や電源回路などアナログ回路でしか機能しないものも数多くあるのです。
このように電子機器の電子回路では、アナログとデジタルの両方の回路を併用しているものも多く、そうした点からアナログ・デジタルを問わず、回路設計のフィールドでは高度な技術と経験を有したエンジニアへのニーズが高まっているのです。
これからアナログ回路設計に道に進もう!と考えている若きエンジニアに、大手メーカーでアナログ回路の設計・開発に携わってきたベテランエンジニアは、次のポイントをアドバイスします。
さらにアナログ、デジタルを問わず、回路設計の領域でエンジニアとして活躍するには、専門学校や大学等の高等教育機関で専門知識や実践力を習得したうえで、ものづくりの現場で経験を積むことが必須となります。
ひるがえれば、回路設計は「経験がものをいう仕事」であることからも、積み重ねた実績と経験値に伴う洞察力や観察眼、トラブル発生時の迅速な対応、直感やひらめきがエンジニアとしての裾野の広さを表すものになるでしょう。
アナログ回路設計と同様に、最先端技術を取り扱う組織でデジタル回路の設計・開発に携わってきたベテランエンジニアは、これからデジタル回路設計に携わろうと考える若きエンジニアに、次のポイントをアドバイスします。
厚生労働省公表の「令和3年度 賃金構造基本統計調査」によると、平均年齢42歳のサンプルをもとにした回路設計の平均年収は以下のようになっています。
・勤続年数:14年8カ月
・労働時間:165時間/月
・超過労働:19時間/月
・月額給与:39万4800円
・年間賞与:137万2900円
・平均年収:611万500円
もちろん、給与や年収は経験や職歴に左右されますし、企業の給与事情によっても異なりますが、経験の浅い回路設計エンジニアであれば年収500万円弱であり、30代の回路設計エンジニアの平均年収の中心帯は約400万円~550万円とされています。
さらに、40代以上の中堅・回路設計エンジニアの平均年収は700万円以上になるほか、企業規模によって平均年収1000万円の高収入を得ている回路設計エンジニアも多く、比較的高い傾向にあるといえるでしょう。
また、ひとつの企業で働き続けるエンジニアが多い一方、需要の高まりにより、大手企業やメーカーからヘッドハンティングされるケースも多くなっています。さらに、回路設計エンジニアとしての“腕前”と実績が評価され、外資系企業や海外の大手電気メーカーに転職するケースも最近は特に増えてきています。
前項でもご紹介した通り、「回路設計」という高度な技術と専門性を武器に、幅広いフィールドでの活躍が見込まれる回路設計エンジニア。
本記事では、デジタル、アナログ双方の回路の特性や、メリット・デメリットをご紹介してきましたが、私たちが今日当たり前に使っている小型化・高機能性を有した電子機器すべてに多くのデジタル回路が実装され、それと平行して、交流を直流に変換する「電源回路」といったアナログ回路技術も必要不可欠な存在となっています。
こうした観点からも、電気・電子、アナログ・デジタルを問わず、「回路」のフィールドでプロフェショナルをめざすのであれば、アナログ回路とデジタル回路を区別してとらえるのではなく、「回路」に関する幅広い技術を専門機関で学び、実践力を身につけることが非常に重要となります。
「回路」を究める道に、近道や王道はなし……。
不断の努力と学びが、回路設計エンジニアのあるべき姿と心得ることが、何より大切といえますが、ものづくりの最前線であるやりがいに満ちた回路設計という魅力あふれるフィールドに飛び込み、ぜひ、エンジニアとしての醍醐味を体感してみませんか!
日総工産の「エンジニアワークス」では、回路設計をめざす方々のご期待にそえるよう「回路設計」関連のお仕事も多数掲載しています!
回路設計エンジニアに必要なヒューマン・コミュニケーションや、専門スキルを体系的な学べる日総工産では、世界最高速エレベータを生み出した技術者集団の一員として働けるチャンスをはじめ、多種多彩な企業から回路設計の業務を委託されています。
その活躍フィールドは全国におよび、最先端技術を取り扱う企業やインフラ事業に携わる企業など多種多彩です。詳しくは「エンジニアワークス」をご覧ください。
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