〈生産技術 ✕ ITエンジニア〉現場✕経営の視点と新たな発想力で、現場を改革する「生産技術」 | エンジニアワークス

現場✕経営の視点と 新たな発想力で、 現場を改革する「生産技術」





前記事の「変革まっただなか!巨大産業・製造業の10の魅力」では製造業の様々な魅力をご紹介しましたが、製造業(メーカー)において重要な部門・職種に位置づけられるのが「生産技術」です。

ロボット、AI、通信、システム、DXなど、高度な技術スキルでものづくりの現場を改革する「生産技術」は、これまで理系出身者の活躍フィールドというイメージが強かったのですが、そんな生産技術に最近は大きな変化が生じています。

その変化とは、埋もれた課題を発見し、その課題を最新技術で解決に導いたり、より利益を生み出すために生産現場をオートメーション化する必要性が高まったことで、「技術✕経営」の2つのスキルと、現場を刷新する新たな発想力が求められるようになった点です。

こうした変化に伴って、生産技術の部門やポジションに、文系出身者や若手の新人を生産技術のメンバーに採用するメーカーも多くなっているのですが、そこで今回は、生産性の向上や企業の優位性の確立において重要な役割を担う「生産技術」の“あれこれ”を解説します。



生産技術の仕事


「生産技術」の仕事を端的に説明すると、「製造業において、製品を効率よく量産する生産体制を築くこと」になります。この「効率よく量産する生産体制」には、大きく次の4つの意味が含まれています。



●人・設備・コストのつ3のリソースを活用し、量産可能な体制を構築する
●量産可能✕低コストの生産体制を構築することで、高い利益を出す
ムダのない短納期を実現し、お客様の要望に適う生産体制を構築する
●競合他社との差別化を図るため、高品質✕魅力ある製品を生産する



「人」「設備」「コスト」「時間」「品質」「利益」など、多角的な視点が求められる生産技術の仕事は、目的達成に向けて技術スキルや経営的スキルを駆使する生産現場の「司令塔的」といえる存在であり、企業・メーカーの競争力を左右する重要な役割を担っています。





生産技術の仕事内容


「生産技術」とよく似た用語や職種に「製造技術」がありますが、この2つには共通した部分を含む半面、次のような違いがあります。



●生産技術 → 原材料調達から納品までの“全生産工程”を担う仕事
●製造技術 → 全生産工程のなかで“一部の工程”の最適化を図る仕事



生産技術は、生産にかかわるすべての業務に精通していなければならないため、原材料、加工、設計・開発・最新の生産技術、品質、安全保証、原価や製造コストなど、他領域の知識とスキルが求められます。

例えば、自動車の部品メーカーで生産技術の仕事に就く場合、クルマの骨格を形成する鉄・アルミ・樹脂(プラスチック)の主要生産国や企業、市場価格などに精通していなければなりません。

また、さらなる生産性向上を図るため、新たに大型プレス機など数億円単位の設備を導入する際にも、鋳造機械メーカーや市場動向、高度化する金型の技術動向にも詳しくないといけません。





生産技術の仕事のやりがい


生産ラインや生産体制のあらゆることに携わるチャンスがある生産技術は、責任が重い分、やりがいの大きさも大きな魅力です。



生産技術のやりがい/様々なエキスパート、部署、協力会社と連携できる


生産技術の仕事に就く人は、製品開発や設計、品質保証など、
社内の様々な関係部門と密に連携する必要があります。
また、原材料メーカー、設備メーカー、システム開発企業、搬送会社など
多岐にわたる協力会社や関連会社とやりとりする必要があります。



生産技術のやりがい/新しいスキルが身につくため、確かな成長を実感できる


製品を製造するうえで必要な材料や加工業界の動向や設備の価格、
最新の生産技術、セキュリティや安全面での先進技術など、
業務に関連した幅広い知識を養わなくてはならないため、
技術者として確実に成長できる手応えを実感できます。



生産技術のやりがい/司令塔になって課題を見つけだし、解決に導ける


生産現場を改革する際は、経営層、管理職、社内外のエキスパートとの
交渉が難航することも珍しくありません。そうしたときは、生産技術の
武器である情熱、理論、技術、経営的視座を駆使し、全員がともに
ひとつの方向に向かって進める司令塔的役割を担います。



生産技術の仕事の難しさ


ときに、作業員のスキル向上や適切な配置、安全性・スケジューメル・コストの管理などにも携わる生産技術の仕事は、日々多くのタスクをこなしながら、自らの成長を実感できるやりがいがある一方で、大変さを感じることも多々あります。

生産技術の難しさ/重いプレッシャーを感じることも多い


スケジュール通りに生産ラインを稼働させ、お客様に納期通りに製品を
納品できなければ、会社の信用問題や、業績にも大きな影響がおよぶため、
重いプレッシャーと闘いながら、日々の業務に向き合う大変さがあります。



生産技術の難しさ/意見調整や人員配置がスムーズにいかないことも


生産技術の仕事は、関係部門や協力会社と調整を図りながら、高い生産体制を
構築する必要がありますが、計画がスムーズに進むことはまれであるため、
社内外との交渉で折り合いがつかない場合は、新たな発想や客観的データを
もとに、経営陣や関係部署と粘り強く交渉する大変さがあります。



生産技術の難しさ/24時間365日、突発的トラブルに対応する必要がある


日々稼働する生産ラインで、設備の不具合などのトラブルが発生した場合、
会社が被る不利益を最小限にとどめるため、24時間365日、
迅速かつ的確にトラブルに対応する大変さがあります。
また、こうしたトラブルを防ぐ対策を事前に講じることも生産技術の仕事です。





生産技術の仕事に必要なスキル


生産技術の仕事には多様なスキルが求められますが、即戦力とされるスキルが下の4つです。

●技術的スキル


生産技術の仕事で即戦力となる技術的スキルには、主に以下のようなものがあります。
〈生産工程全体に関する技術的スキル〉
〈生産ラインの設計図面に関する技術的スキル〉
〈製造コストを分析する技術的スキル〉
〈生産ラインで稼働する設備に関する技術的スキル〉
〈ロボット・AI・DXなどの最新技術トレンドに関するスキル〉
〈商品を納品する物流に関する技術的スキル〉
〈同業他社や業界の技術動向に関するスキル〉



●コミュニケーション能力


生産技術は、経営層と密に連携しながら業務に臨みますが、経営層に報告する内容は単なる数字にとどまらず、従業員のモチベーション、職場環境や生産ラインにおける課題、利益率を高めるための提案など、数字からは見えない部分についても、積極的に進言することが求められます。
また、従業員一人ひとりとコミュニケーションを図り、現場から収集したデータや声を分析する取り組みをとおして、経営層と現場の架け橋になることも、生産技術の仕事のひとつです。



●情報・データの収集・分析力


例えば、高額の設備や最新ロボット等を導入する際には、設備導入後に、現場に内在する課題がどのように改善されるのか、新たな投資がどのような効果をもたらすかを、客観的視点やデータに基づいて提示する必要があります。さらに、現場や外部から収集したデータを分析し、そのデータを経営戦略における有益な情報にまとめあげて経営層に提示することも、生産技術の仕事のひとつです。
何より、生産技術の仕事の大本命は生産性の向上に尽きますが、その本命にスムーズにたどり着けるよう「経営層に客観的データを提示する」→「経営層が的確な経営判断を下す」→「生産性が向上する」→「利益率が上がる」→「業界での優位性が確立される」という好循環を生み出すことも、生産技術の仕事です。



●トラブル回避策、問題解決力


生産技術の仕事において大事なことは「現場の声に耳を傾けること」になります。例えば、現場で働いている人が感じている“ささいなインシデント(大事故の兆候)”を共有できれば、大事故を未然に防ぐことができますし、システム上で計測される数値以外の“違和感”が生じていた場合、それがトラブルの前兆や、生産性を妨げる要因になるリスクになるため、現場が感じている“ささいなこと”に注意を払い、さらに、従業員の“声”に耳を傾けることが重要です。





生産技術の仕事に向いている人


●理系出身者、文系出身者、新人、未経験者


一般的に、現場で活用する生産技術の仕事は、高度な技術的スキルをベースに選択・決定を下すことが多い点から理系出身者が適していると思われがちですが、最近は、ものづくりの現場での人材不足などの要因もあいまって、文系出身者新人、若手、未経験者がメンバーに入っていることも珍しくありません。

また昨今、技術とビジネス(経営)の両面のスキルをあわせもつ人材が、生産技術で高い功績をあげ、企業の成長を促進する原動力になっている実例からも、デジタル技術や通信、AI、ロボット、DX、セキュリティなどのスキルに特化した理系出身のエンジニアだけでなく、コミュニケーション能力、情報・データ能力、トラブル回避策、問題解決力に長けた文系出身者、若手、新人にも広く門戸を開き、生産技術の新たな人材を募るケースも増えています。



●協調性が高く、チームで働くのが好きな人


様々な部署と連携しながら生産業務の効率化を推進する生産技術の仕事で特に重要なスキルが、コミュニケーション力になります。もちろん、コミュニケーション力はどの仕事でも重要な素養ですが、特に生産技術の仕事は、現場で働くスタッフ、リーダー、管理職、さらに経営層など多様なセクションや職歴の人とコミュニケーションを図る必要があることから、協調性に欠けた人、自分本位な人、感情的な人などは、生産技術の仕事に向いていないといえるでしょう。
さらに生産技術の仕事は、ひとつの目標に向かって大勢の人々とともにタスクを着実に実行・推進していく旗振り役的存在としてのマネジメントスキルを求められます。



●問題意識が高く、どちらかというと“せっかち”な人


眼の前の日常の光景に、「これはどうして?」「なぜこうなった?」という素朴なギモンを抱く問題意欲の高さも、生産技術の仕事に就く人の重要な素養です。
「個人情報が◯万件流出」といった報道を目にすることが多くなった昨今、こうした“事故”の原因を探っていくと「現場での指摘が放置されていた」「担当者が怠慢で危機意識が薄かった」「インシデントが報告されていたにもかかわらず、大丈夫だろうという経営陣の過信があった」などの要因が見えてきます。
“前兆”や“インシデント”を見逃さないためには、どちらかというと“のんびり”した人より“せっかち”な人のほうが兆候に気づきやすく、さらに“せっかち”な人は、「このままにせず、速く対処しなればいけない」と迅速に行動に移す可能性が高くなります。
つまり、生産技術の仕事とは、問題や課題についての危機意識が高く、原因追及や解決の手立てをいち早く講じる人ほど、評価が高いといわれています。





生産技術の年収


ここまで生産技術の仕事に就く人のやりがい、適性、技術的スキルなどをご紹介してきましたが、最後は、生産技術の気になる年収です。

大手求人サイトでは、総じて生産技術の仕事の年収が600万円超になっていますし、主任クラスで800万円超、係長クラスになると900万円超と、製造業の仕事に就く他の技術者と比較しても高い水準になっています。

また、大手転職エージェントの調査によると、生産技術の平均年収は521万円になっていて、20代が391万円、30代が626万円と、年収の上昇幅が大きいこともわかっています。

具体的な企業名をあげてみると、トヨタ自動車で働く生産技術職は、全国平均を上まわる「年収826万円」になっています。さらに、日総工産の「工場求人ナビ」を見てみると、派遣社員の生産技術職の時給も1800円、2200円などと比較的高水準で、正社員になると月収例30.6万円、37.9万円、41.9万円と、他職種と比較して恵まれた待遇であることがわかります。

—— 大変なことも多いけれど、それだけにやりがいも大きい生産技術の仕事。興味がある方は、まずは 「工場求人ナビ」をチエックしてみてくださいね。



日総工産ではITエンジニアのお仕事も多数掲載中!
「新たな技術フィールドで活躍したい」、「自らの可能性をもっと追求したい」、「エンジニアとしてキャリアアップを図りたい」と考えている皆さんを、全力でサポートいたします。詳しくは「エンジニアワークス」をご覧ください。

お問い合わせ

採用に関するご相談など、お気軽にお問合わせください。
受付は平日朝9時より18時までとなります。
平日18時以降、土日祝日のお問合わせは翌営業日以降にご対応致します。

engineer works(エンジニアワークス)は、日総工産のエンジニア採用ページです。日総工産には「未経験の方」も「経験を活かしたい方」も、エンジニアとして活躍できる場があります。