〈製造業 ✕ ITエンジニア〉変革まっただなか! 巨大産業・製造業の 「10の魅力」 | エンジニアワークス

変革まっただなか! 巨大産業・製造業の 「10の魅力」





日本国民の労働者のうち約7人に1人が従事し、「卸売業」「小売業」に次ぐ産業規模を誇る製造業は、その規模から多種多様な業種に細分化され、企業(メーカー)によって取り扱う原材料や製品も多岐にわたります。

また、最近のメーカーでは、高度なテクノロジースキルをもつエンジニアのニーズが急拡大していますが、その理由は、「DX化」「インダストリー4.0」「スマート・マニュファクチャリング」などのデジタル化に伴い、自律ロボットやAIを製造現場に導入するケースが増えていることによります。

こうした変化のさなか、メーカーに就職するにはテクノロジースキルを有した人材ほど重用される傾向が強まっていますが、文系出身でメーカーに就職する人も、基礎的なITリテラシーは身につけておく必要がありますし、グローバルに展開するメーカーであれば、活躍フィールドを広げるためにしっかり語学力を身につけておきたいものです。

——デジタル化に伴う変革のまっただなかにあるメーカーには、どのような魅力があるのでしょうか。今回は「10の魅力」を深掘りします。



様々な魅力に満ちた、巨大産業の製造業


製造業は、日本のGDP(国民総生産)の約20%を占める巨大産業ですが、メーカーに就職や転職を考えている人にとってはあまりの規模の大きさゆえ、業界研究や就活に臨むにしても、数多い製造業のなかで「自分に適したメーカーはどこなのか?」「どんな仕事や職種があるのか?」……など、どこから攻めていけばよいのか悩ましいところでしょう。

そうした人たちは、まずメーカーの規模感をつかむため、製造業の仕組みを理解するところから始めてみましょう。製造業は下図のように“上流”“中流”“下流”の大きく3つに分類されます。



“上流”➡ 原材料や素材を扱うに位置する「素材メーカー」
“中流” ➡ 素材メーカーが製造した素材を使って、機器や部品を加工する「部品メーカー」
“下流” ➡ 素材や部品の加工・組み立てを行う「加工メーカー」





魅力①…おしなべてビジネス規模が大きい“上流”の素材メーカー


では早速、メーカーの「10の魅力」を深掘りしていきましょう。

“上流”“中流”“下流”それぞれに属する企業(メーカー)ごとに取扱製品や規模は異なりますが、手始めに“上流”に位置する「素材メーカー」の売上高を見ていきましょう。

「素材メーカー」のトップに君臨するのは日本製鉄であり、その額は4兆8292億円にものぼります(日経225に登録された素材メーカー30社の売上高ランキング/2020年1月)。

日本製鉄は、米「USスチール」の買収に関連したニュースで最近見聞きする機会が増えていて、この買収についてトランプ氏が「私なら瞬時に阻止する。絶対にだ!」と発言して物議を醸しましたが、2024年4月の報道では「USスチールは臨時の株主総会を開き、日本製鉄による買収計画は株主の圧倒的な賛成多数で承認された」と発表し、買収額は2兆円にのぼる見通しになっています。

一般のわれわれにとっては日本製鉄の売上高の4兆8292億円や買収額の2兆円が、どれくらいの規模感なのかピンときませんが、机上の計算として4兆8000億円は、現在、日本で暮らす年金受給者すべてに、1人あたり12万円(年)を追加支給できる金額に相当します。年金受給者数は約4050万人にのぼりますから、この数からも圧倒的かつ神レベルの金額であることが窺えます。





魅力②…“上流”の素材メーカーには、巨大企業が名を連ねる


さらに、第1位の日本製鉄に続き、素材メーカートップ5には以下の巨大企業が名を連ねます。



●第1位   日本製鉄 (約4兆8292億円)
●第2位   ブリヂストン (約3兆円)
●第3位   住友電気工業 (約2兆9200億円)
●第4位   東レ (約1兆9000億円)
●第5位   神戸製鋼所 (約1兆7100億円)



このように世界各国から素材や原材料を買いつけている巨大素材メーカーは、いずれも“兆”レベルの売上高を誇りますが、「グローバルに活躍したい」「ダイナミックなビジネスに携わりたい」と考えている人にとっては、「素材メーカー」はまさにうってつけといえるでしょう。



魅力③…“上流”の素材メーカーのビジネスは、グローバルかつダイナミック!


さらに、“上流”の素材メーカーを例に、グローバル✕ダイナミックな魅力についてご紹介します。

例えば「ゴム製品業界 売上高ランキング」のキーワードでググってみると、自動車用タイヤで知られる業界最大手のブリヂストンを筆頭に、工業用、医療用、生活用など多彩な領域で使用される天然ゴム、合成ゴムなどを取り扱う「素材大手メーカー」が多数ヒットします。

日本で消費されている天然ゴムは100%輸入であるため、ゴムを取り扱う「素材大手メーカー」は、主要産出国のタイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、中国など、世界の総生産量の4分の3以上を占める東南アジア諸国から材料を輸入しています。

このことから、もしゴムメーカーの調達部門で働き、日常的に購買交渉や買い付けを行うようになれば、億単位のダイナミックなビジネスに携われる可能性は高いといえます。

さらに、グローバル競争が激化する今日、素材メーカーの多くが海外に生産拠点を展開している点から、海外に長期間駐在することも珍しいことではなく、「素材メーカー」で働く=グローバルに活躍できる、ダイナミックな仕事に携われるチャンスが高くなります。





魅力④…認知度は低いけれど、シェアNo.1の“中流”の部品メーカーも!


ここからは製造業のなかで“中流”に位置する「部品メーカー」に目を向けてみましょう。

「部品メーカー」の最大の特長は、パナソニックHD、TDK、アイシン、デンソー、京セラ、村田製作所などの有名な企業が多く、国の基幹産業といわれる自動車メーカーの系列企業の多くも“中流”の「部品メーカー」に属します。

一例として、自動車の電子部品業界の業績ランキングでは、モーターメーカーのニデックが世界1位のシェアを誇り、“走る半導体”といわれる車載用半導体で強みを発揮するキーエンスも「部品メーカー」の一角をなします。



魅力⑤…“下流”のメーカーは、BtoBを主とする隠れた優良企業が多い!


次に、製造業のなかで“下流”に位置する「加工メーカー」です。

「素材メーカー」が取り扱う素材・原材料や「部品メーカー」が取り扱う加工品を使用して、製品を製造する「加工メーカー」には、食品、金属、精密・工作機械、薬剤、繊維などの様々なメーカーが含まれます。

私たちがスーパーや小売店で購入する食品、日用品、衣類などは、一般消費者を主取引先(BtoC)とするメーカーが製造していますが、こうしたメーカーはテレビCM等の影響もあって、企業名が広く知られていることが一般的です。

その一方で、一般に名前が知られていないBtoB(企業間取引)を主とする「加工メーカー」も数多く存在します。BtoBを主とする「加工メーカー」は、私たち一般消費者にとって認知度は高くないものの、実は隠れた優良企業であることが多く、「取り扱う製品の業界シェアナンバー1」といった強みをもつメーカーや、業界内では圧倒的認知度を誇るメーカー、さらに、売上高トップに長年君臨するメーカーも多数存在します。





魅力⑥…希少名産品をブランディング化し、販路を広げたメーカーも!


上流の「素材メーカー」、中流の「部品メーカー」、下流の「加工メーカー」すべてにおいて、「ものづくりのだいご味を味わえる」点が共通した魅力といえますが、メーカーとひと口にいってもその裾野は広く、世界で展開する巨大メーカーから、地方の酒蔵・銘菓・民芸品・工芸品など伝統的なものづくりを継承する中小・零細企業まで様々です。

なかには、企業規模としては零細だけど、独自の技術を有した優れたメーカーも数多く存在し、「地方再生」「地域活性化」のムーブメントが起きている今日、地方の零細メーカーが、地元の人々や地銀、行政などと連携して新たな製品の企画・開拓する動きも活発化しています。なかには、過疎地や少数生産を逆手にとって、その希少名産品をブランディングし、世界に販路を広げているケースも、大きな話題になっています。



魅力⑦…零細メーカーでも、世界を相手に戦えるチャンスと夢がある


独自の技術を有し、他に真似できない製品を独占的に製造する小さなメーカーは、デジタル化に浸透に伴って、ビジネスのあり方を変える変革期のさなかにあります。

例えば、独自の技術を有し、他に真似できない製品を独占的に製造する零細メーカーに、“盆栽”“錦鯉”があります。ご存じのとおり、“盆栽”と“錦鯉”は海外の人から圧倒的人気を誇りますが、“盆栽”“錦鯉の即売会や展示会を開催した際には、世界各国から訪れた大勢の外国人が真剣なまなざしで商品を吟味し、100万円単位で商品を競って購入する姿がニュースなどでも盛んに報じられています。

“盆栽”と“錦鯉”は、古くから特定の取引先を対象にした“あきない”を続けてきた零細メーカーが多かったのですが、昨今は、その独自性や確かな品質、世界で唯一無二の商品といった強みや独自性をアピールしたことで、ネットを介して海外から注文が殺到するようになっています。

こうした従来の枠組みを取っ払ったビジネスモデルの創出や販路拡大の取り組みには、「市場調査」「自社の強みの分析」「顧客アプローチのセグメンテーション」「SNSを活用したプロモーション活動」「ECサイトの立ち上げ」など、多面的なコマース・マーケティング施策が欠かせません。

考え方によっては、大勢の従業員が世界各地で働き、巨額の売上高を誇る大手メーカーの場合、ひとりの社員は一歯車であり、ひとつの歯車が欠けても大きな支障が生じないという側面も否めませんが、その反面、中小・零細メーカーでは、コンサルティング的な視座でITリテラシーやテクノロジースキルを有した社員が、小さな企業を大きく変容させるチカラを発揮できるチャンスと夢があるといえるでしょう。





魅力⑧…製造業、メーカーには、経営が安定した優良企業が多い


ここまで、製造業の様々なビジネス規模、特徴、やりがい、だいご味などをご紹介してきましたが、「景気に左右されにくい安定した経営」こそが、メーカーの最大の魅力と考える人も多いことでしょう。

厚生労働省がまとめた「産業分類コード」※では、産業ごとに「大分類」「中分類」「小分類」に分けられ、A〜Tの分類コードがふられた「大分類」は下の20になります。



●〈A〉農業・林業
●〈B〉漁業
●〈C〉鉱業・採石業・砂利採取業
●〈D〉建設業
●〈E〉製造業
●〈F〉電気・ガス・熱供給・水道業
●〈G〉情報通信業
●〈H〉運輸業・郵便業
●〈I〉卸売業・小売業
●〈J〉金融業・保険業
●〈K〉不動産業・物品賃貸業
●〈L〉学術研究・専門・技術サービス業
●〈M〉宿泊業・飲食サービス業
●〈N〉生活関連サービス業・娯楽業
●〈O〉教育・学習支援業
●〈P〉医療・福祉
●〈Q〉複合サービス事業
●〈R〉サービス業(他に分類されないもの)
●〈S〉公務(他に分類されるものを除く)
●〈T〉分類不能の産業



また、最も大きな市場規模の産業は〈I〉卸売業、小売業であり、次いで〈E〉製造業になり、全産業の半分を「〈I〉の卸売業、小売業」と「〈E〉の製造業」が占めていることがわかります。



〈I〉 卸売業、小売業
 480兆1679 億円(74万1239社/全産業の28.4%)

〈E〉製 造 業
    87兆 606 億円(33万9738社/全産業の22.9%)



製造業やメーカーの魅力は市場規模の巨大さにとどまらず、長い歴史のなかで自社の圧倒的な立ち位置を築き、商流を確立させたことにあります。何より多くの人々にとって、経営が安定した優良企業が多いことが、製造業やメーカーの最大の魅力になっているようです。



魅力⑨…大手メーカーほど、“賃上げ”への意識が高い


ここ数年、社会全体で機運が高まっている賃上げについては、大手メーカーと中小メーカーで大きな差が生じているようです。

原材料高などの価格転嫁が十分に進んでいない中小メーカーのなかには、「経営体力が乏しい」「賃上げの原資の確保が難しい」「人材採用と人件費上昇の板挟みに陥っている」「正常な価格転嫁による収益改善が実現しない」等の理由によって、賃上げに慎重な姿勢をとるところも少なくありません。

一方の大手メーカーは、経団連(日本経済団体連合会)発表によると2024年春季労使交渉によると、非製造業の平均1万8168円(同4.85%増)に対し、製造業の平均は1万9920円(5.85%)と上まわる結果に。特に製造業での賃上げ回答は顕著で、52の主要労働組合すべてがベースアップに相当する賃金改善を実施し、基本給を底上げするとしています。

大手自動車メーカーや主要電機メーカー、大手飲食メーカー、大手アパレルメーカーの相次ぐ賃上げが、今後は製造業全体に波及することが期待されていますが、一方で、製造業に従事する雇用者全体の4割近くが非正規労働者とされています。社員の賃上げと平行して、非正規労働者の待遇改善もしっかり注視していかなければなりません。





魅力⑩…自動化の普及で、エンジニアの活躍フィールドが急拡大!


自動車や家電などの製造現場では、工場内に配置される人員が最小に抑えられ、人の手でまかなっていた業務をロボットが代替するシーンも今日では当たり前の光景になっていますし、食品や菓子、日用品を製造する小規模工場でも、最近は多種多様なオートメション化やデジタル化が導入されています。

さらに、製造・管理すべての業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立するためのDX(Digital Transformation)が推進されるようになった現在は、産業界全体でデジタルシフトへの取り組みが活発化しています。

生産スピードを上げ、安定した品質を確保することを目的にした「デジタルシフトへの取り組み」とひとくちにいってもその技術領域は幅広く、JavaScript、SQL、UI/UXの知識・技術から、システム構築、ネットワーク、量子セキュア通信、組み込み、クラウド・コンピューティング、セキュリティ、データサイエンス・解析、AI(人工知能) 、IoT、高性能センサー、デバイスなど、非常に多様な技術スキルが求められることになります。



テクノロジースキルを有した人材が、メーカーの優位性を高める


オートメション化やデジタル化を採用するメーカーのなかには、自社内ですべてをオートメション化することが難しい場合もあります。そうしたケースでは、自動化を導入する際に必要となるテクノロジーを自社調達するのではなく、他社の専門企業や機関、エンジニアの手を借りることが多くなっています。この手法を、オープンイノベーションと呼びます。

一例として、自動車関連部品メーカーで製造した大小様々な部品を巨大な工場内にストックし、組立工場や修理工場などの取引先に部品を配送する自動車部品の大手専門商社でも、最近はオープンイノベーションによる自動化が導入されています。

この商社では、長年にわたって独自のシステムを採用してきたのですが、“人の手”に頼る業務では“勘違い”や“思い込み”によって数パーセントの「ミス」が必然的に発生するため、業務効率化と品質保証を目的に社内の担当者、システム開発企業、システムインテグレータ(SIer)の三者が連携したオートメーション化に取り組むことに。半年以上の歳月のなかで何度もトライ&エラーを繰り返した結果、これまでわずかながら発生していたミスの件数はゼロになり、さらにムダ、ムリの排除にも成功したのです。





—— このケースのように、ものづくりの現場に限らず幅広い業種で、最近はオープンイノベーションを採用するところが増えていますが、システム開発企業やSIerにオートメーション化を依頼するにしても、自社内に指示役となって様々な調整を図るテクノロジーに強い人材が求められることになります。

オートメーション化にあたっては、自律ロボットやAIの導入をはじめ、DX、AI、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、5G、セキュリティなど、広範なテクノロジースキルが求められるため、今後は専門的かつ実践的なテクノロジースキルを有した人材を擁する企業ほど優位性が高まることは必至ですし、専門性の高いエンジニアにとっても、グローバルに活躍フィールドが広がっていくことになるでしょう。



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