ニーズの高まる国家資格「機械保全技能士」について徹底解説 | エンジニアワークス

ニーズの高まる国家資格「機械保全技能士」について徹底解説

工場の生産設備や機械にトラブルが発生すると、製造ラインの停止や稼働不良によって生産活動に支障をきたすだけでなく、現場のオペレーターや作業員に危険が及ぶ可能性もあります。そうした生産現場でのリスクや事故を未然に防止し、さまざまな生産設備を安全・正常に稼働させるために不可欠となる業務活動が「設備保全(※)」です。


そこで今回は、工場や生産現場の設備保全に関する国家資格「機械保全技能士」について徹底解説。その仕事内容や任務、求められるスキル、資格の取得方法など、機械保全技能士に関する情報をまとめてご紹介します。製造業を支えるモノづくり系エンジニアや、保守・メンテナンス系エンジニアを目指している方は、ぜひチェックしてみてください。


※「設備保全」に関する詳しい解説はこちら


機械保全技能検定の合格者に与えられる名称独占資格

機械保全技能士は、国家検定制度である「機械保全技能検定」の合格者に与えられる国家資格で、試験に合格しなければ、その名称を名乗ることができない名称独占資格に位置づけられています。
資格は上位から「特級」「1級」「2級」「3級」の4等級に区分され、それぞれの等級によって受験に必要な実務経験の年数が異なり、上位になるほど試験の難易度や求められる技能レベルも高くなります。


ちなみに、国が定める技能検定には、さまざまな職業技能(機械加工・建築大工・造園・ファイナンシャルプランニングなど)の習得レベルを評価する約130職種の試験があります。そのひとつである機械保全技能検定は、工場などで機械設備の保全を担うエンジニアや技術者が対象となり、受験者数はモノづくり分野の職種の中で最も多くなっています。


機械保全技能士の仕事内容・求められるスキル

製造業を主とするモノづくりの現場では多くの機械保全技能士が活躍しており、工場などの設備診断や機械保全をトータルに担っています。


皆さんもご存じの通り、工場には発電・配電・ガス・給排水・消防など、さまざまな種類の機械設備がありますが、どこか1ヵ所にトラブルが生じただけで、製造ライン全体が停止・停滞してしまいます。そうした事態を回避するために、生産部門と連携した機械設備全体の保全活動を通して、つねに製造ラインを正常に稼働させることが機械保全技能士の任務です。
具体的には、機械設備のメンテナンス計画の作成・実施、劣化の予測や欠陥の発見、異常発生時の修理の対応のほか、生産設備のデータ収集や解析、判定などの情報管理が主な業務となります。


このように、機械保全技能士は設備保全に関する幅広い知識・技能はもちろん、異常の予兆に気づく注意力や状況に応じた柔軟な対応力・判断力、周囲との連携を図るコミュニケーションスキルなども求められるのです。


製造業に不可欠な設備保全のプロフェッショナル

ここ近年、製造業の工場では、生産年齢人口の減少による人手不足の解消や、納期短縮などの顧客ニーズに対応するため、IoT・AIなどの先端技術を活用した生産現場の自動化・効率化が進められています。このように、生産設備の高度化とともに、製造リードタイムの短縮が加速する昨今では、機械設備のトラブルや事故が生産計画に甚大な影響を及ぼし、企業も大きな損失を被ることになるのです。


こうしたことから、製造業では製造ラインの正常稼働を支える設備保全の必要性が、以前にも増して高まっており、高度化した生産設備の保全を担う人材の確保が急務となっています。そんな設備保全のプロフェッショナルとして、生産現場で求められているのが機械保全技能士です。生産設備の自動化・高度化が進むにつれ、設備保全においても専門的かつ高度な知識・技術を有する人材が不可欠となるからです。
今後も、製造業を中心に高まるニーズを受けて、機械保全技能士の活躍の場はますます広がっていくことは間違いないでしょう。


機械保全技能検定の受験資格・試験内容・合格率

機械保全技能士資格を取得するための技能検定は、厚生労働大臣指定試験機関の「公益社団法人・日本プラントメンテナンス協会」が毎年実施しています。 では、機械保全技能検定の受検資格(受験に必要な実務経験の年数)や、試験内容・合格率などを等級ごとに見ていくことにしましょう。


【各等級の受検資格】

●特級/機械保全技能検定1級を取得した上で、設備保全に関する実務経験が5年以上ある者


●1級/設備保全に関する実務経験が7年以上ある者、または2級取得後に同様の実務経験が2年以上ある者、または3級取得後に同様の実務経験が4年以上ある者(※)


●2級/機械保全に関する実務経験が2年以上ある者、または機械保全技能検定3級を取得している者(※)


●3級/機械保全に関する実務経験は不問。機械保全に関わる業務に従事している者、または従事しようとしている者であれば誰でも受験可能


※1級・2級の受験に必要な実務経験については、大学・短大の工学部卒業や工業高校卒業、職業訓練の修了など、学歴による短縮要件が設けられています。



【各等級の試験内容】

いずれの等級も学科試験と実技試験があります。等級が上がるほど、求められる知識・技術の専門性や試験の難易度も高くなりますが、実務経験が不要な3級の試験では、保全業務の基本となる基礎的な問題が主となります。
また、特級以外の試験は選択作業別に実施され、1級・2級は「機械系保全作業」「電気系保全作業」「設備診断作業」の3区分、3級は「機械系保全作業」「電気系保全作業」の2区分から試験範囲を選択することができます。


●特級/学科試験は、工程・作業・品質・原価・設備管理、安全衛生管理および環境保全、作業指導、機械保全に関する現場技術の科目で構成され、多肢択一式の正誤問題で出題。実技試験は、現場における課題を表や図表、グラフなどを用いて提示し、工程管理・作業管理などに関する計画立案の技能を測る問題が出題されます。


●1級・2級・3級/選択した区分の作業分野に関して、それぞれ学科試験と実技試験があり、学科試験は各区分とも多肢択一式の正誤問題で出題されます。
実技試験は、主に異常発生時の原因特定や対応に関する問題が出題され、機械系保全作業と設備診断作業は、資料などを見て判別・判断するマークシート方式で解答。電気系保全作業は、実際に回路組立や修復作業を行うほか、マークシート方式で解答する問題も出題されます。



【合格基準・各等級の合格率】

合格基準は各等級とも共通で、学科試験は加点法で100点満点中65点以上で合格、実技試験は減点法で41点以上の減点がなければ合格です。
各等級の合格率(2019年度)は、特級17.6%、1級21.6%、2級30.9%、3級71.0%と、等級が上がるほど狭き門となっていることがわかります。


なお、機械保全技能士の資格は、学科・実技の2つの試験に合格しなければ取得できませんが、学科・実技のいずれか一方の試験に合格した場合、次回以降に不合格となった試験のみを再受検し、合格することで取得できる試験免除制度が設けられています。

まずは3級からチャレンジしてキャリアアップを!

以上、機械保全技能士や技能検定に関する情報をまとめてご紹介しました。


先述したように、製造業を中心に機械保全技能士のニーズは高まっており、資格を取得すればその名称を公的に名乗ることができますし、給与・待遇面や就職・転職の際にも優位となります。
もちろん、資格の等級が上がるほどハードルは高くなりますが、まずは比較的難易度の低い3級に合格すれば、現場で実務経験を積みながら上位の資格を目指し、「中堅の保全エンジニア(2級)」~「保全部門のリーダー(1級)」~「管理職・マネージャー・監督者(特級)」といったキャリアアップのプランを描くことも可能です。 機械保全技能士を目指したいという方は、ぜひこの機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


※上記でご紹介した機械保全技能検定の受験資格や試験内容は変更になる場合があります。
受験に関する詳しい情報は「公益社団法人・日本プラントメンテナンス協会HP」をご覧ください。


日総工産の取り組み - 全社員の資格取得を推奨・サポート -

日総工産(株)では、国家資格である機械保全技能士をはじめ、品質管理に関するQC検定や自主保全士の資格取得を社内で推進。モノづくりへの理解を深める取り組みとして全社員に資格取得を推奨しており、会社が受験料を負担するなどのサポートも行っています。


【チャレンジできる資格の一例】

●機械保全技能士/機械本体や電気回路の保全、機械のメンテナンスを行うための技能と知識を証明する国家資格

●半導体製造技能士/国家資格である技能検定制度の一種で、半導体製造に関する学科・実技試験の合格者に与えられる資格

●電気工事士/電気系統の設備保全業務など、電気を安全に扱うための基礎となる資格

●自主保全士/製造オペレーターに求められる知識と技能を評価するための認定制度

●QC検定(品質管理検定)/製造現場での品質管理に求められる知識と技能を測る検定



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