製造現場の設備保全に役立つ認定資格「自主保全士」とは ? | エンジニアワークス

製造現場の設備保全に役立つ認定資格「自主保全士」とは ?

製造業における「設備保全」とは、工場のさまざまな機械や設備を安全・正常に稼働させるために点検や修理を行うことを指し、製造現場の安定稼働を支える重要な業務活動のひとつとなっています。

とくに、工場のオートメーション化が進む近年は、設備保全の重要性とともに、その業務を担う人材のニーズや、求められる能力もますます高まっています。多くの装置やシステムによって自動化された工場で、安定した高い生産性と製品品質を維持するためには、現場で稼働するさまざまな生産設備の保守・メンテナンスが不可欠となるからです。

そこで今回は、製造業の保全業務やスキルアップに役立つ、民間の認定資格「自主保全士」について徹底解説。自主保全士に求められる知識・技能や、資格の取得方法・試験内容・難易度など、押さえておきたい情報をまとめて紹介します。製造業の仕事やメンテナンス系エンジニアを目指している方は要チェックです。



製造業を中心に取得者が増える自主保全士

自主保全士(自主保全士認定制度)とは、製造オペレーターに求められる保全の知識と技能を認定する民間資格(検定制度)として2001年にスタート。以来、20年間で自主保全士の資格取得者(認定者)は、累計で13万人を超えています。
本検定は、モノづくり産業の生産活動を支援する「公益社団法人 日本プラントメンテナンス協会(以下JIPM)」が検定試験および通信教育(添削指導カリキュラム+試験)を主催しており、合格者は“設備に強いオペレーター”として自主保全士の認定資格が与えられます。

ちなみに「自主保全」とは、生産設備を操作する製造オペレーターみずからが、設備の日常点検や整備、異常発見などの保全活動を行うことを指します。製造サイドで設備のトラブルを未然に防止することで、安定した稼働・生産を図るとともに、製造・保全の分業によるロスや弊害を解消。担当業務や部署を超えて、各人のスキルアップ・モチベーションアップを促すことも、自主保全の狙いのひとつとなっています。

こうした自主保全の目的・メリットを受けて、ここ近年は製造オペレーターはもとより、保守・保全エンジニアや管理職の資格取得者も増加。現場力の向上や組織の体質改善などを目的として、全従業員に自主保全士検定を推奨する大手メーカーも増えており、製造業を中心に多くの企業で注目が高まっています。

自主保全士に求められる能力・知識・技能

自主保全士検定を主催するJIPMでは、製造オペレーターが自主保全を行う上で必要とされるスキルを客観的に評価するための尺度を定め、以下4つの能力とともに、それを補完する5つの知識・技能を有する者を自主保全士として認定しています。

【自主保全に関する4つの能力】

  • 異常発見力/異常を異常として見る目を持っていること
  • 処置・回復能力/異常に対して正しい処置ができること
  • 条件設定能力/正常や異常の判断基準を定量的に決められること
  • 維持管理能力/決められたルールをきちんと守ること

【現場管理に対する5つの知識・技能】

  • 生産の基本
  • 設備の日常保全(自主保全全般)
  • 効率化の考え方とロスの捉え方
  • 改善・解析の知識
  • 設備保全の基礎

自主保全士の等級基準について

自主保全士は、知識・技能のレベルに応じて1級・2級のランクが設けられています。各級の想定される役割と求められる能力は以下の通りです。

【自主保全士1級】
職場チーム(小集団)における中心的・リーダー的な存在となり、自主保全を展開する上での計画・立案と実践指導ができる能力を有する

【自主保全士2級】
製造(生産)に関わる部門の一員として、自身の業務に従事しながら、自らが関わる設備や工程・作業について自主保全を実践できる能力を有する

自主保全士資格の取得方法と検定試験の概要

では、ここからは自主保全士の資格を取得するための方法や、検定試験に関する情報をまとめてご紹介します。



【自主保全士資格の取得方法】
自主保全士の資格を取得するためには、以下2つの方法があります。いずれの場合も、等級基準や求められる能力、受験資格などに違いはありません。



年1回の検定試験は全国各地の会場で受験できるほか、会社単位の集団会場や、オンラインでの受験も可能です。また、通信教育を通して取得する場合、受講期間は5ヵ月(認定試験を除く添削期間)となっており、社内や自宅で受講・受験することができます。



【検定試験の受験資格】
受験資格については、1級のみ実務経験の年数が設けられ、ほかの資格取得や学歴などによる優遇・制限はありません。 実務経験の年数は、生産・製造・保全などの業務に直接従事した場合のほか、スタッフとしてこれらの業務を支援した場合も含まれ、過去の実務経験年数を合算してもOK。また、4年以上の実務経験があれば、2級に合格していなくても1級を受験することが可能です。





【検定試験の出題形式・合格基準】
検定試験は1・2級ともに学科試験・実技試験(いずれも筆記)があり、資格を取得するためには学科・実技ともに合格する必要があります。各試験の出題形式と合格基準は以下の通りです。





【検定試験の出題内容】
試験内容は、先述した「現場管理に対する5つの知識・技能」の科目から、それぞれの細目に対して1級はその詳細(専門知識)を、2級は概略(基礎知識)を問う形で出題されます。。





【試験の合格率・難易度】
2021年の自主保全士検定の受験者数(通信教育受講者数)と合格率は、以下の通りです。合格率は資格試験としては比較的高く、難易度は1級がBレベル(普通)、2級がCレベル(やや易)となっています。



また、一般の受験者に対して、通信教育受講者の合格率が極めて高い点も注目されます。通信教育では、添削指導によるカリキュラム(5単位/5ヵ月)で保全の基礎~応用を学びながら、合格ラインを目指して確かな知識を養うことができます。独学や受験対策に不安のある方は、通信教育を通した取得を検討してみてはいかがでしょう。

製造業界を目指すなら、ぜひチャレンジを!

自主保全士は、もともと製造オペレーターが対象の認定資格なので、保全業務の初心者・未経験者でも勉強しながら知識を養い、自身の能力を資格という形で示すこともできます。

機械保全技能士などの国家資格と比べると、優位性という点ではやや低いものの、取得のハードルはさほど高くありません。製造業界を目指すなら取得しておいて損はない資格ですし、日々の業務やスキルアップにもきっと役立つはずです。興味のある方は、ぜひチャレンジしてみてください!

※自主保全士検定や通信教育などに関する詳しい情報は「公益社団法人 日本プラントメンテナンス協会(自主保全士認定制度)」をご覧ください

日総工産の取り組み

全社員の資格取得を推奨・サポート

日総工産(株)では自主保全士をはじめ、製造現場で役立つ資格の取得を社内で推進。モノづくりへの理解を深める取り組みとして全社員に資格取得を推奨しており、会社が受験料を負担するなどのサポートも行っています。



【チャレンジできる資格の一例】

  1. 自主保全士/製造オペレーターに求められる知識と技能を評価するための認定制度
  2. 機械保全技能士/国家資格である技能検定制度の一種で、機械本体や電気回路の保全、機械のメンテナンスを行うための技能と知識を証明する資格
  3. 半導体製造技能士/国家資格である技能検定制度の一種で、半導体製造に関する学科・実技試験の合格者に与えられる資格
  4. 電気工事士/電気系統の設備保全業務など、電気を安全に扱うための基礎となる資格
  5. QC検定/製造現場での品質管理に求められる能力を評価するための認定資格制度


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