第4次産業革命と製造業の未来《Part.2》 | エンジニアワークス

第4次産業革命と製造業の未来《Part.2》
~製造業の現場を改革するスマートファクトリーとは?~

いま、日本を含めた世界各国で急速に進行する「第4次産業革命」。 前回《Part.1》の記事では、IoT・AIなどのテクノロジーを核とする第4次産業革命について、以下の点を掘り下げて解説しました。

  1. これまでの産業革命(第1次~第3次)の歴史
  2. 第4次産業革命とは何か?
  3. 第4次産業革命によって、日本社会や人々の生活がどう変わっていくのか?
  4. 第4次産業革命によって、製造業全般の技術改革が進む欧米各国と追随する日本

以上の続編となる今回の《Part.2》では、日本の製造業における第4次産業革命のキーワード「スマートファクトリー」にフォーカス。国や製造業界が推進する「モノづくりのスマート化」によって、製造現場や働く人にどのような変革が起きるのか── そのメリットやデメリットとともに、これからの製造業を支えるエンジニア職の将来性について考察します。

第4次産業革命のテクノロジーを集結したスマートファクトリー

では、これまで世界で起きた第1次・第2次・第3次産業革命の歴史と、それによって生じた世の中の変化について見てみましょう。


第4次産業革命をリードする欧米諸国で、製造業全般の技術改革が進むなか、日本では2017年に経済産業省が、次世代のモノづくり産業に向けた指針を示す『スマートファクトリーロードマップ』を公表。そのキーワードとして注目されているのが、タイトルにもある「スマートファクトリー」です。

スマートファクトリーとは、IoT・AIなどのデジタルテクノロジーを製造現場に導入し、さまざまなデータを活用・連携させることで、コストダウンや品質・生産性の向上を図る工場のこと。産業ロボットを使った従来の機械化だけでなく、IoTセンサーで取得したデータをAIで分析し、その結果を現場に反映させることで、製造プロセスに関わる“ヒト・モノ・コト”の最適化を実現させる仕組みです。

すでに日本国内でも、半導体や自動車部品、工作機械、家電などのメーカーを中心に、既存工場をスマートファクトリー化する動きが年々加速。少子高齢化で労働人口が不足し、技術継承なども困難になりつつある中、製造業の現場改革を図る新たなアプローチとして、「モノづくりをスマート化(下図表参照)」するスマートファクトリーに熱い視線が注がれているのです。

スマートファクトリーの軸となる7つの目的とメリット

経済産業省が掲げる同ロードマップでは、第4次産業革命に対応するモノづくりの実現に向けて、スマートファクトリーの軸となる7つの主目的と、それに対応する各種の事例が挙げられています(下図表参照)。



では、上記の7つの主目的と各事例について、実現に向けた具体的なアプローチとメリットを項目ごとに見ていきましょう。

【1/品質の向上】
●作業内容のデータを収集し、どのような状況で人為的なミスが発生したかを分析することで、適正な人材教育や設計変更を図り、製品の不良率を低減できる
●個々の製品データから品質のばらつきを分析することで、最適な製造条件や作業状況が可視化され、品質の安定化が図れる
【2/コストの削減】
●生産システムのデータを活用した在庫管理や、製造行程のモニタリングにより、ムダなコストとロスを抑えた生産体制が構築できる
●過去の製品の設計構造などを解析することで、コストダウンにつながる軽量化や部品数の削減などが図れる
【3/生産性の向上】
●生産ラインのデータや進捗状況をリアルタイムに把握することで、設備や従業員の稼働計画を最適化。設備機器の不具合なども早期に発見・解決できるため、トラブルによる稼働停止の削減も図れる
【4/製品化・量産化の期間短縮】
●過去の設計事例から、最適な形状や構造、部品などの情報をデータベース化することで、製品の開発・設計期間を短縮し、仕様変更にもスピーディーに対応できる
【5/人材不足・育成への対応】
●生産ラインの管理や流れ作業などを自動化することで、省人化が図れる
●熟練技術者の動きをAIで分析し、現場のノウハウなどもデータベース化することで、業務に必要な知識や技術を体系化。これを人材教育に生かすことで、従業員のスキル向上が期待できる
【6/新たな付加価値の提供・提供価値の向上】
●製品に搭載したIoTセンサーから使用状況などをモニタリングし、収集したビッグデータを分析することで、製品の改善や新規サービスの開拓などに役立てられる
●遠隔で製品のソフトウェアをアップデートすることで、ユーザーに新たな機能や付加価値をスムーズに提供できる
【7/その他・リスク管理の強化】
●製品にIDタグや通信機能を搭載してデータを収集することで、商品ごとの品質保証や不具合時の原因特定・対策に役立てられる

スマートファクトリー化でニーズが高まるエンジニア職

このように、既存工場をスマートファクトリー化するメリットは多岐にわたり、労働時間の短縮、労働環境の向上、重労働からの解放など、働く人にとっても大きな利点があります。


一方で、製造現場の自動化・省人化が進むことで、雇用が消失するのではないか……というデメリットを指摘する声も上がっています。とはいえ、先述したように、日本の製造業界は少子高齢化の影響を受け、人材不足や技術継承問題などが顕在化しており、働き手の不足や労働力を補うという意味では、一概に良し悪しは語れません。


そうした懸念はありつつも、これからの製造業に不可欠な職種として注目されているのが、スマートファクトリーのシステムや製造設備の運用・稼働を支えるエンジニア職です。スマートファクトリーでは製造に関わる多くの業務が自動化されますが、製造設備やシステムの設計・施工・保全などを担う技術職は専門性が高く、もちろん機械やAIでも対応できる業務ではないからです。


とくに、製造設備の保守・保全を担うメンテナンス系エンジニアは、「設備のトラブルや事故を防止する」「生産ラインがストップして生産が滞るのを防ぐ」など、スマートファクトリーに欠かせない重要な役割を担っています。そのため、製造現場の自動化・スマートファクトリー化に伴って、メンテナンス系エンジニアのニーズも年々高まっており、未経験から転職した技術者も多く活躍。第4次産業革命を象徴する先端技術のもとで、日本のモノづくり産業を支えながら、自身のスキルアップ・キャリアアップが目指せるのも、この仕事の大きな魅力といえるでしょう。


── 以上、2回にわたって第4次産業革命がもたらす世の中の変化や、日本の製造業に及ぼす影響について見てきました。こうして、遠い未来の夢と思われていたイノベーションが、現在進行形で発展を遂げながら、私たちの生活や働き方も日々アップデートされているのです。


そして今、まさに革命的な先端テクノロジーと向き合い、そのメリットを将来にわたって享受していくために……。モノづくりやスマートファクトリーに興味がある方はもちろん、新たな技術フィールドでエンジニアとして活躍したい方も、時代を動かす第4次産業革命のビッグウェーブに向けて、自身の次なるアクションを見つけてください!


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