〈汎用系 ✕ ITエンジニア〉「汎用」の意味や由来、 汎用系システムエンジニアの 仕事内容、スキルを解説! | エンジニアワークス

「汎用」の意味や由来、 汎用系システムエンジニアの 仕事内容、スキルを解説!





ひとくちに「システムエンジニア(SE)」といっても、所属する企業やプロジェクトによって業務内容や使用言語は異なります。

求人広告を見るとその違いは一目瞭然で、同じシステムエンジニアの募集広告であっても、募集している職種は「汎用系システムエンジニア」なのか、それとも「Web系システムエンジニア」なのか、あるいは「オープン系システムエンジニア」、「制御系システムエンジニア」、「インフラ系システムエンジニア」なのかによって、取り組む業務は異なります。

今回は、様々な系統に分けられるシステムエンジニアの一分類である「汎用(はんよう)系システムエンジニア」に焦点をあて、汎用にまつわるトリビア、汎用系システムエンジニア仕事内容、求められるスキル、使用言語、活躍フィールドなどを解説します。



「汎用系SE」「汎用機」など、汎用にまつわるトリビア


【汎用系システムエンジニアとは?】


EC事業者や金融機関や証券・生命保険会社などは、膨大なデータをシステム処理する業種ですが、これらの大企業や大規模組織が事業を遂行するうえで中核に位置する業務処理を、正確に、そして安定的に行う基幹システムの開発に従事する技術者を、汎用系システムエンジニアと呼びます。



【汎用系コンピュータとは?】


ビシネスシーンで使用される秒単位の高速データ処理を可能とする高性能の大型コンピュータを「汎用コンピュータ」と呼びます。「行政・官公庁・国際機関」などの公的機関をはじめ、「銀行、保険会社、クレジットカード会社」「物流」「メーカー」「鉄道・運輸会社」「商社」などの大企業で「汎用コンピュータ」は多く使用されています。



【「汎用系」に大別される理由】


汎用系システムエンジニアのメイン業務は主に商用の汎用システムの再構築や運用・保守などですが、Web系、オープン系、制御系、インフラ系など数ある系統のなかのひとつである「汎用系」は、「汎用コンピュータ」(汎用機用ハードウェア)メインとした業務に取り組みます。



【汎用系✕オープン系】


汎用コンピュータと対比される系統が「オープン系」です。インターネットへの接続を前提にパソコン(個人用のパーソナルコンピュータ)やスマートフォンで稼働するシステムの「オープン系」と対比した位置に置かれる「汎用系」は、汎用機に組み込まれた独自のシステムだけを使用します。この違いから、汎用コンピュータは「クローズド(閉ざされた)システム」と呼ばれることもあります。



【「汎用」と呼ばれる理由】


「汎用コンピュータ」は「メインフレーム・コンピュータ」のほか、「汎用機」「ホストコンピュータ」などの名称で呼ばれますが、「汎用」の言葉には「メインフレーム=主たる枠組み」「幅広い用途で使われる」の意味があり、「汎用コンピュータ」には、次の2つの意味があります。
・「主たる枠組み」 ➔ ひとつのハードに対して複数ソフトが使えるコンピュータ
・「幅広い用途」   ➔ 用途は決まっておらず、広範囲に利用できる



【汎用コンピュータと、パソコンの違い】


コンピュータの黎明期は「コンピュータ」という名称しかありませんでしたが、ミニコンピュータの登場を受けて、その違いを明確化するため商業用の独自のオペレーティング・システム(OS)のをもつコンピュータを「汎用コンピュータ」または「汎用機」と呼ぶようになり、個人用コンピュータを「パーソナルコンピュータ(パソコン)」と呼び分けるようになります。





汎用系コンピュータを取り巻く市場環境


汎用系システムエンジニアの多くは、IBMや富士通、NECなどの大手企業に所属し、その企業(メーカー)が製造・販売する大規模な汎用型基幹システムの開発に従事します。

「メインフレーム・コンピュータ」と呼ばれる「汎用コンピュータ」の業界では、2022年2月に、業界関係者に激震が走る一報が報じられました。それは、業界大手の富士通がメインフレーム・コンピュータの生産を2030年で終了し、サポートも2035年で終える……というものです。

この報道は、富士通の汎用コンピュータを使用して基幹事業の処理を行う企業にとっては経営問題につながる衝撃であり、多くの企業(顧客)が今後の対応に苦慮していることもあわせて伝えられています。

実は、富士通よりひと足早い2018年に日立製作所も自前ハードの生産から撤退しており、その理由は、独自のオペレーティング・システム(OS)やアプリケーションを搭載した「汎用コンピュータ」のシステムは、一度導入すると他社に乗り換えることが困難であり、DX化を阻害するといったデメリットによるもの、としています。

こうした大手の動向は、大型汎用コンピュータの出荷台数は2000年以降に急激な右肩下がりのカーブで縮小したことにも所以しますが、市場縮小に伴い、大型汎用コンピュータを取り扱うメーカーは現在、IBMとNEC、2030年に生産を中止することを表明した富士通のみになっています。

その一方で、世界に冠たるIBMでは、最新メインフレームの開発に10年で約3兆円が投資されており、同時に、汎用系システムエンジニアに限定せず、オープン系エンジニアでも開発がしやすいプラットフォームにするなどの柔軟性かつ多様性のある新製品の開発に取り組んでいます。

汎用系システムエンジニアに求められる「RASIS」のスキル


商用のメインフレーム(大型汎用コンピュータ)は、企業や団体・組織の事業と直接的にかかわる基幹業務で利用されることが多いため、「計算処理を正確かつ迅速に行う総合的な信頼性」と「長期にわたって安定的に継続して稼働する能力」「相応のサイズとコスト」などの要件を満たすシステムであることが求められます。

このことから大型汎用コンピュータは、システムトラブルによって企業の信頼性を損なう事態にならない高信頼なシステムであることが絶対条件となります。

また、汎用系コンピュータには「膨大なデータを高速で処理できる」といった高い機能性のほかに、「外部からの攻撃が少なく、セキュリティ性が高い」といったメリットがあり、コンピュータシステムの評価指標である「RASIS(レイシス)」の5項目において、汎用系コンピュータは高い評価を獲得しています。

※「RASIS(レイシス)」=5項目の頭文字を取ったコンピュータシステムの評価指標

つまり、「RASIS(レイシス)」の評価指数に準じた技術要件やスキルを身につけたエキスパートが、汎用エンジニアになります。

【コンピュータシステムの評価指標「RASIS(レイシス)」】
評価指標① 信頼性(Reliability)
故障しずらく、予期しないシステムの停止が発生しない
評価指標② 可用性(Availability)
処理能力の遅延や停滞が生じず、高い稼働率を維持すできる
評価指標③ 保守性(Serviceability)
誤作動、誤処理が生じず、障害発生時に迅速に復旧できる
評価指標④ 保全性(Integrity)
データの破損や消失、データの矛盾などが発生せず、一貫性を保っている
評価指標⑤ 安全性(Security)
機密性が高く、不正アクセスへの対策により情報漏洩が発生しない





汎用系システムエンジニアが主に使用する言語


企業や目的によってシステム開発で扱うプログラミング言語は異なりますが、メインフレーム(大型汎用コンピュータ」のプログラム開発に従事する汎用系システムエンジニアや汎用系プログラマの場合、COBOLの利用頻度が最も高く、次いでJava、FORTANが使用されます。

オープン系システムエンジニアやオープン系プログラマと、汎用系システムエンジニアや汎用系プログラマの使用言語がどのように違うのか比較してみましょう。



【汎用系システムエンジニアや汎用系プログラマの主な使用言語】
「C」「COBOL」「FORTAN」
「Java」「PL/SQL」「RPG」

【オープン系システムエンジニアやオープン系プログラマの主な使用言語】
「C#」「C+」「Java」「JavaScript」
「PHP」「Python」「Ruby」「VB.net」





汎用系システムエンジニアの活躍フィールド


本記事でもご紹介したとおり、大型汎用コンピュータの市場は2000年以降、出荷台数が急激なカープーを描くように縮小し、現在、大型汎用コンピュータを取り扱うメーカーは、世界でもIBMとNEC、2030年に生産を中止する富士通のみになっていることから、汎用コンピュータを利用する企業がDXを推進する場合、オープン系システムを導入するケースが増えています。

時代の趨勢として、多くの人が卓上計算機を使って計算する時代には、汎用コンピュータの使い勝手が優っているといわれましたが、時代は変わり、現在は表計算などのソフトを使用した自動計算が主流になっています。

その一方で、大型汎用コンピュータを長きにわたって使用している企業も多いですし、製造元である最大手のIBMは、従来の大型汎用コンピュータに柔軟性や多様性を加味した汎用コンピュータの開発に巨額を投資しています。

これから汎用コンピュータの市場がどのように変化するかは誰にもわかりませんが、IT系企業の募集広告をのぞいてみると、以下のような汎用コンピュータを対象としたシステムの開発・運用にかかわる汎用系システムエンジニアの広告も依然として多く、いずれも待遇は高収入になっています。



●官公庁の臨時職員の募集広告……データのシステム運用管理に従事するエンジニア
●データセンター……COBOLを使用した汎用系システムの開発・運用・保守業務
●証券会社……IBMの汎用コンピュータを使用したCOBOLでのシステムの再構築業務



—— コンピュータの歴史を遡ると、現在ではオープン系が主流になっているものの、汎用系システムの開発が成功しなければ、オープン系のシステムは誕生しなかった……といえます。
そのため、現在主流になっているオープン系のシステム開発をめざす人であっても、汎用系システムに関するスキルをしっかり身につけておく必要があることは確かな事実でしょう。

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