意外と知らない半導体のキホン! | エンジニアワークス

意外と知らない半導体のキホン!
国内半導体メーカー・ランキングトップに輝く「キオクシア」

経済を牽引する原動力であり、便利な暮らしの立役者でもある半導体。
そんなスグレモノの半導体ですが、世界に張りめぐらされたサプライチェーンの脆弱性がコロナ禍によって露見し、半導体不足が地球規模で長期化。その混乱はわたしたちの暮らしにも大きな影響をおよぼしました。

一部をあげるだけでも、生産の減産・停止を余儀なくされた自動車メーカーでは、新車の納車まで1年以上を要するケースも多発しましたし、半導体と切り離せない最新機種のスマホ等のモバイル機器の製造にも大きな影響が出ました。

さらに、マイコン制御や高機能をもつ家電やゲーム機、ネットワーク機器の製造・販売にも混乱が生じるなど、あらゆる業界・メーカーが半導体不足の影響を受け、製品や機器の“頭脳”である半導体獲得に奔走することになったのです。

こうした事態によって、普段何気なく使用しているや製品の便利さをあらためて実感する人も多かったでしょうし、日本と世界の半導体の“いま”に目を向けた方も多かったはず。

そこで今回は、「半導体のキホン」と「日本の半導体業界」を調べてみました。半導体に興味のある人もない人も、「えっ、そうだったの!」と思える意外な事実に出会えるはずですよ!


5つのポイントから半導体をおさらい
半導体のキホンの「キ」を理解しよう!

暮らしに欠かせない半導体でありながら、その実態は意外と知られていないようです。そもそも「半導体」とは、どのようなものなのでしょうか?

さまざまな種類・仕様があることや、劇的な技術進化を遂げている半導体のキホンを、ここから順を追っておさらいしていきましょう。



【今さら聞けない、半導体ってどんなもの?】

スマホ、パソコン、ゲーム、デジカメから自動車、家電、交通・飛行機、インフラ、宇宙開発にいたる多ジャンルの製品・機器・サービスの制御機能を司るもの……、それが半導体といって過言ではないでしょう。

オーソドックスな半導体には、加工が容易なシリコンが使われていますが、「半分の導体」という意味を表すネーミングの由来は、以下の通り。これが、半導体を理解するうえでのキホンの「キ」となります。



  • □ 金、銀、銅のように電気を通しやすい素材の「導体」
  • □ ゴムやガラスなどのように電気を通しにくい素材の「絶縁体」
  • □ 「導体」と「絶縁体」の中間の性質を備えた材料・元素で構成された「半導体」


マイクロチップとも呼ばれる半導体には、何十億もの極々小サイズのトランジスタ(信号を増幅またはスイッチングする半導体素子)が内蔵されていて、トランジスタ内を通過する電子・電気によって、多様な機能の制御が行われています。

さらに厳密にいうと、半導体にはシリコン半導体のように単元素を材料にした「元素半導体」と、2種類(or 複数)の元素を結合させた「化合物半導体」に大別できます。


  • □「元素半導体」 → これまで(現在)の半導体のほとんどが元素半導体
  • □「化合物半導体」→ 電子の移動速度が劇的に速いなど、多様な優れた特性を備える

シリコンのようにひとつの元素を材料にしている「元素半導体」と比べ、半導体エンジニアの飽くなき研究の“たまもの”といえる「化合物半導体」は、電子デバイス等の高速(高速演算・信号処理)かつ大容量化を可能とするほか、絶縁破壊強度、熱伝導率性、光への反応、マイクロ波低消費電力性、低電圧、耐熱性、低消費電力での動作を可能にしています。


【半導体のスケール感とは?】

小指の先サイズのマイクロチップには、約数百億個のトランジスタ(信号を増幅またはスイッチングする半導体素子)が搭載されています。


デスクトップ型のパソコン本体を開けてみるとわかりますが、内部には緑色をした基盤が格納され、電子部品がズラッと並んでいます。その基盤にはめ込まれた黒っぽい小さな四角形(矩形)のパッケージが半導体であり多数確認できるはずです。



つまり、その1個1個がパソコンの心臓部とされるCPUをはじめ、メモリ、DRAM、ネットワーク&通信、キーボード&マウス、ディスプレイ、プリンタなどのあらゆる動作を、高速かつ正確に制御しています。このことからパソコンは「半導体の塊(かたまり)」とも呼ばれています。

パソコンの一例からもわかる通り、極々小サイズながら高機能を有する半導体は、製品や機器の司令塔ともいえる存在で、テレビを見たりゲームを楽しんだり、パパッとレンチンしたり、炊飯器のボタンを押すだけでおいしい白米が簡単に炊けるのも、すべて半導体のおかげといえるのです。

逆に半導体がなければ、スマホ・パソコン・自動車、電車、ATMは機能せず、ガスも電気も供給されない社会になってしまう可能性が……。そう考えると、半導体のすごさやありがたさをあらためて実感できますね。



【半導体って、どこに使われている?】

コロナ禍を境に仕事のあり方が変化し、世界レベルでリモートライフへの移行が加速しました。新型コロナが発生した2020年以前と現在を比較すると、わたしたちのライフスタイルや意識は様変わりしましたが、今後さらにデジタル化が進むにつれ、半導体の需要はより高まるとされています。

下表に簡単ながら、半導体が使用されている製品や機器などを挙げてみました。でも、これはごくごく一部。わたしたちが日常的に使用する便利な “もの”や、楽しい“もの”のほとんどに半導体が使用されています。



わかりやすい一例に自動車があります。ガソリン車には駆動制御や自動運転をはじめとする基本パッケージの半導体マイクロチップが150〜200個使われていて、さらにそこにテレビ、ナビゲーション、オーディオ等の半導体が加わります。

また、ガソリン車と駆動システムが異なるハイブリッド車の場合、ガソリン車の1.5倍のマイクロチップが使用されているとされますが、こうした事実を知ると、自動車は“走る半導体”といっても過言ではなく、半導体不足による「納車待ち1年以上」という事態も、半導体と車の密接な関係を知れば、なるほど納得がいきますね。


【最新の半導体はどこまで進んでいる?】

IBM社が2021年に発表した最新高機能のトランジスタのスケールは、なんと「2ナノメートル(nm)」!

従来型の1個の半導体には制御機能に限りがありましたが、IBM社を筆頭に世界のトップメーカーが開発にしのぎを削るナノテク凝縮の半導体小型化技術は、制御機能だけでなくさまざまなメリットをもたらします。

例えば、マイクロチップ内に搭載できるトランジスタ数を大幅に増やすことができればそれだけ制御機能が増大することになりますし、電子デバイス等の高速(高速演算・信号処理)かつ大容量や低電圧、耐熱性、省力化、トランジスタ間を通過する電子速度や信頼性といった、本来の「化合物半導体」が有していた機能や性能を、さらにうわまわる高性能を発揮することに。

こうしたメリットから、ナノテク技術が搭載された半導体は「半導体の歴史上におけるまったく新しい設計」ともいわれ、“神の領域”ともいわれるレベルに達しているのです。

ただ、「ナノは1メートルの10億分の1」と数学的な説明をされても、サイズ感を想像するのはちょっと難しいですよね。そこで、「μm」と「nm」を比較してみましょう。



□「μm(マイクロメートル)」→ 1メートルの100万分の1(0.000 001)
光学顕微鏡で確認できるレベル/スギやヒノキ花粉(約30~40μm)、ヒト赤血球(約7μm)、カビや酵母(約5μm)、大腸菌(約3μm)、食品用ラップの厚さ(約10〜18μm)など

□「nm(ナノメートル)→ 1メートルの10億分の1(0.000 000 001) 電子顕微鏡を使わないと見えないレベル/ノロウイルス(約30nm)、インフルエンザウイルス(約80~120nm)、新型コロナウイルス(約100~200nm)など
よりわかりやすいサイズ感として、地球の直径を1メートルにサイズダウンした場合、ナノメートルは1円玉相当のスケールに該当


「μm」と「nm」の比較からもIBM社が開発した2 nmのすごさがわかりますが、“限界”を突破したナノテクの小型化技術は、今後、5G通信技術やAIなどの重要なジャンルの技術進化を加速させると期待されています。

ただ、大量生産にいたるには今しばらく時間がかかりそうですが、実用化されたあかつきには、社会の“有り様”を変化させる起爆剤になりえるでしょうし、ものすごく小さいけれど、エンジニアのみならず人類の英知が結集したナノテク半導体には、未来を創造する夢や希望が詰まっているともいえますね。

【半導体不足は、なぜ、解消されない?】

複雑な特許(ライセンス)で構成され、「単元素半導体」や「化合物半導体」はじめ、「真性半導体」と「不純物半導体」」などの分類と多様な特性をもつ半導体の高機能マイクロチップを生産するには、以下のようなハードルを乗り越えなければなりません。

□半導体にかかる最先端技術を身につけたエンジニアの確保
□特許(ライセンス)にかかる問題をクリアにする
□製造前の準備段階として、半年から1年あまりの期間を要する
□さらに、半導体の製造ライン新設にこぎつけるまで2年以上を要する
□膨大なコストが発生する

実際に、大手企業がマイクロチップの製造工場を建設した際、トータルコストが約100億ドル(日本円で約1兆4000億)にのぼったという過去の実例も!

ここまで半導体の需要の高さや機能性といったキホンをおさらいしてきましたが、コロナ禍による半導体不足の混乱によって、半導体の供給シェアの87%が台湾、韓国、中国に集中していることが明らかになりました。

ありとあらゆる製品の製造に欠かせない絶大な需要がありながら、限られた地域・国で製造されている偏りが、いま世界における大きな課題になっているのです。

こうしたコロナ禍によって浮き彫りになった半導体の供給問題を受け、世界の大手企業がしのぎを削って開発・製造競争に名乗りをあげていますが、数々の高いハードルを乗り越え、膨大な時間や手間・コストをかけなければならないことに加え、国家的事業の側面も強いといったさまざまな要因が障壁となり、コロナ禍に端を発した半導体不足は容易に解消されない現状が続いているのです。

半導体強国・日本、復活なるか!日本の半導体企業 売上高総額トップ15

半導体のキホンの「キ」をいくつかの視点に分けてご紹介してきましたが、ここからは日本の半導体業界や企業に目を向けていきましょう。

英国を本拠地とするInformaのハイテク市場動向調査事業のデータによると、日本の半導体企業に絞ったおよびランキングトップ15は、以下表の通りとなります。

上記表は世界ランキングから日本企業だけを抜粋したものですが、日本の半導体市場トップ3はキオクシア、ルネサスエレクトロニクス、ソニーセミコンダクタとなり、この3社で国内全体の6割以上のシェアを占めています。

また、2020年、2021年の日本の半導体企業売上高トップはキオクシア(旧 東芝メモリ)で、日本半導体企業のなかで唯一100億ドルの大台を達成!

さらにキオクシアは、2021年の世界ランキングでも見事に12位にランクインし(2020年は11位)、高い成長率を達成・維持しています。これら日本の半導体企業が半導体不足という世界的有事を解決に導く一手となるか……、半導体強国・日本の復活なるか……、いまその動向に世界の耳目が集まっているのです。

世界の競合と肩を並べ、世界で展開する日本トップの半導体メーカー「キオクシア」

日本の半導体企業売上高ランキング15を見ると、100億ドル超を唯一達成しているのがキオクシアであり、2017年の半導体メーカー売上高では世界第8位にランクインした企業として、欧米・アジアでは「KIOXIA Corporation」として知られます。

また、同社は主にNAND型フラッシュメモリを製造する半導体メーカーとしての歴史も長く、東京都港区の本拠地のほか、メモリ事業の一大拠点【四日市工場/三重県】、NAND型フラッシュメモリの量産拠点【北上工場/岩手県】などの国内生産拠点を擁しています。さらに国外では米国、欧州、台湾、シンガポール、韓国、中国、イスラエル、欧州にも展開。

フラッシュメモリのリーディングカンパニーであるキオクシアは、わたしたちになじみのある「メモリ」「SSD」「SDメモリカード」「microSDメモリカード」「USBフラッシュメモリ」などを製造・販売する業界の最大手企業であり、2021年の時点で全拠点で働く従業員数は1万3000人以上におよぶ巨大メーカーです。

ちなみに「キオクシア」の社名は、日本語の「記憶」と、ギリシャ語で「価値」を表す「axia」を組み合わせたものだそう。フラッシュメモリやSD、SSDの製造を手がける企業らしいネーミングですね。

ニューノーマルな生活様式やデジタル社会の進化に伴い、半導体の需要は今後さらに増大していくなか、エンジニアをはじめ多方面の業界からキオクシアに熱い視線が集まっています。

日総工産ではITエンジニアのお仕事も多数掲載中!

日総工産の「工場求人ナビ」 では、半導体製造におけるラインエンジニア業務をはじめ、半導体製造装置のメンテナンス業務、後工程プロセスにおける装置システム構築業務など、さまざまな半導体関連業務をご紹介しています。

「キオクシア」はもちろん、半導体メーカーや関連大手企業に興味のある方は、「工場求人ナビ」から、ぜひチェックしてみてくださいね!



——日総工産では「新たな技術フィールドで活躍したい」「自らの可能性をもっと追求したい」「エンジニアとしてキャリアアップを図りたい」と考えているみなさんを、全力でサポートいたします。詳しくは詳しくは「エンジニアワークス」をご覧ください。

お問い合わせ

採用に関するご相談など、お気軽にお問合わせください。
受付は平日朝9時より18時までとなります。
平日18時以降、土日祝日のお問合わせは翌営業日以降にご対応致します。

engineer works(エンジニアワークス)は、日総工産のエンジニア採用ページです。日総工産には「未経験の方」も「経験を活かしたい方」も、エンジニアとして活躍できる場があります。