日本の経済の中心的存在である産業の製造業には、日本国民の労働者のうち約7人に1人が従事しています。でも、ひとくちにメーカーといっても多種多様な種類があり、その特徴もさまざまです。
製造業ともいわれるメーカーは、英語で「The Manufacturing industry」と表現されます。「Manufacturing」には「原料から何か(製品)を作る行為」という意味があり、「industry」には(大規模な)工業や製造業を意味があることから、製造業は大規模な工場を擁する産業を意味します。
この説明が少し理解しにくいと思った人のために、もう少し簡単に「メーカー」について説明すると下記のようになります。
「メーカー = 製造業」とは……
もの(製品)を作り、それを販売する産業。つまり「作る」と「売る」をセットにした産業・業界
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厚生労働省の「産業分類コード」※では「大分類」「中分類」「小分類」の3つに分けられ、それぞれに分類コードがふられています。
日本の産業を大きく分類した「大分類」を見てみると、「農業・林業」「漁業」「鉱業・採石業・砂利採取業」「建設業」「製造業」「電気・ガス・熱供給・水道業」「情報通信業」「運輸業・郵便業」「卸売業・小売業」「金融業・保険業」「不動産業・物品賃貸業」「学術研究・専門・技術サービス業」「宿泊業・飲食サービス業」「生活関連サービス業・娯楽業」「教育・学習支援業」「医療・福祉」「複合サービス事業」「サービス業(他に分類されないもの)」「公務(他に分類されるものを除く)」「分類不能の産業」といった具合に、A〜Tの20に分けられています。
そこからさらに「中分類」と、999個におよぶ「小分類」と細かく分けられますが、そのひとつひとつを見ていくと、さまざまな仕事や職種があることはもちろん、日本経済が非常に広範な産業で成り立っているかがわかります。
ここからは、「大分類(E)」の製造業にスポットをあて、「中分類(分類コード)」と「小分類」を列挙していきます。
小分類/畜産・水産食料品、野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品、糖類、精穀・製粉、パン・菓子、動植物油脂、その他
小分類/清涼飲料、酒類、茶・コーヒー、製氷、たばこ、飼料・有機質肥料
小分類/製糸業、紡績業、化学繊維・ねん糸ほか、織物、ニット生地、染色整理、綱・網・レース・繊維粗製品、外衣・シャツ、下着類、和装、その他の繊維製品
小分類/製材・木製品、造作材・合板・建築用組み立て材料、木製容器、その他の繊維製品
小分類/家具、宗教用具、建具、その他の家具・装備品
小分類/パルプ製造、紙製造、加工紙、紙製品、紙製容器、その他のパルプ・紙・紙加工品
小分類/印刷業、製版業、製本業、印刷物加工業、印刷関連サービス業
小分類/化学肥料、無機化学工業製品、有機化学工業製品、油脂加工製品・石けん・合成洗剤・界面活性剤・塗料、医薬品、化粧品・歯磨・その他の化粧用調整品、その他の化学工業
小分類/石油精製、石油精製業によらない潤滑油・グリース製品製造、コークス製造、舗装材料製造、その他の石油製品・石炭製品
小分類/プラスチック板・棒・管・継手・異形押出製品、プラスチックフィルム・シート・床材・合成皮革、工業用プラスチック製品、発泡・強化プラスチック製品、プラスチック成形材料、その他のプラスチック製品
小分類/タイヤ・チューブ、ゴム製・プラスチック製履物・同附属品、ゴムベルト・ゴムホース・工業用ゴム製品、その他のゴム製品
小分類/ガラス・同製品、セメント・同製品、建設用粘土製品、陶磁器・同関連製品、耐火物、炭素・黒鉛製品、研磨材・同製品、骨材・石工品等、その他の窯業・土石製品
小分類/製鉄業、製鋼を行わない鋼材、表面処理鋼材、鉄素形材、その他の鉄鋼 /p>
小分類/非鉄金属第1次製錬・精製業、非鉄金属第2次製錬・精製業、非鉄金属・同合金圧延業、電線・ケーブル、非鉄金属素形材、その他の非鉄金属
小分類/ブリキ缶・その他のめっき板等、洋食器・刃物・手道具・金物類、暖房装置・配管工事用附属品、建設用・建築用金属製品、金属素形材製品、金属被覆・彫刻業、熱処理業、金属線製品製造、ボルト・ナット・リベット・小ねじじ・木ねじ等、その他の金属製品
小分類/ボイラ・原動機、ポンプ・圧縮機器、一般産業用機械・装置、その他のはん用機械・同部分品
小分類/農業用機械、建設機械・鉱山機械、繊維機械、生活関連産業用機械、基礎素材産業用機械、金属加工機械、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、その他の生産用機械・同部分品
小分類/事務用機械器具、サービス用・娯楽用機械器具、計量器・測定器・分析機器・試験機・測量機械器具・理化学機械器具、医療用機械器具・医療用品、光学機械器具・レンズ、武器(銃、砲、銃弾、砲弾、銃砲弾以外の弾薬、銃砲を搭載する構造の特殊装甲車両等の製造事業者)
小分類/電子デバイス製品、電子部品、記録メディア、電子回路、ユニット部品、その他の電子部品・デバイス・電子回路
小分類/発電用・送電用・配電用電気機械器具、産業用電気機械器、民生用電気機械器具、電球・電気照明器具、電池、電子応用装置、電気計測器、その他の電気機械器具
小分類/通信機械器具・同関連機械器具、映像・音響機械器具、電子計算機・同附属装置
小分類/自動車・同附属品、鉄道車両・同部分品、船舶製造・修理業、舶用機関、航空機・同附属品、産業用運搬車両・同部分品・附属品、その他の輸送用機械器具
小分類/貴金属・宝石製品、装身具・装飾品・ボタン・同関連品、時計・同部分品、楽器、がん具・運動用具、ペン・鉛筆・絵画用品・その他の事務用品、漆器、畳等生活雑貨製品、他に分類されない製造業
例えば、日本が世界シェアで優位に立つ「半導体製造装置」は、中分類26の生産用機械器具製造業に分類されることになります。さらに、基幹産業といわれる自動車の場合、中分類31の輸送用機械器具製造業に分類されることになります。
自動車の場合、ボディや骨格には鉄鋼や非金し、タイヤにはゴム、車内には多様な素材が使われています。さらにEVで研究・開発が進む車載用バッテリーをはじめ、駆動システム、ナビ、オーディオ、空調などには先端技術を搭載した電子部品やデバイス・半導体、情報通信機器も多数使用されているため、中分類を横断した多種多様な製造業と連携・協力なくして、車は完成しないことになります。こうした点からも、自動車産業が日本の基幹産業といわれる理由がわかりますね。
製造業の裾野は広大かつ奥行きの深い世界なので、まずは「中分類」や「小分類」にどのようなメーカーが存在するのか、そのメーカーにはどんな強みがあるのか、シェア占有率はどれくらいか……といった具体的な情報や数値を収集していくようにしましょう。
業界研究を進めるうちに、精密機器の大手メーカーとして長い歴史をもつ富士フイルムが、グローバル競争に打ち勝つために事業の多角化に乗り出し、「医薬・化粧品」事業で成功を収めた事例など、新たな発見が次々とみつかればしめたもの……。業界トピックスや業界ニュースを知れば知るほど、製造業の奥深さが見えてくるはずです。
みなさんのなかに「自分は将来、車の製造の興味があり、とくにエンジンの開発に携わりたいと思っている」という人もいるでしょうし、そのほかにも「半導体製造装置の製造に携わりたい」「SSDなどの記録メディアや電子部品の研究・開発に携わりたい」と「伝統工芸や酒造りの世界でものづくりの醍醐味を体感したい」と考えている人も多いことでしょう。
こうした人たちのほとんどの活躍フィールドが製造業になりますが、製造業で働きたい!という情熱をもっている人は、自分に最適な活躍フィールドや企業を絞り込む前に、まずは業界研究をしっかり行うことが大切です。
遠回りせず、無駄なく自分に最適な道筋を歩むために、まずは鳥の目線になって製造業 = メーカーを俯瞰することからスタートして、“天職”と呼ばれる仕事とぜひめぐりあってくださいね。
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