日総工産株式会社が運営するエンジニア求人専門の採用ページであるエンジニアワークスでは、これまでに半導体関連の記事を多数配信していますが、高い専門性を有した半導体エンジニアのニーズは高まるばかりで、そればかりか微細化された先端半導体の進化に伴い、専門性の高い技術を有した人は、より優位な待遇で働ける環境が整いつつあります。
でも、これまでの日本では半導体に付随したテクノロジー・リテラシーや技術教育に本腰を入れてこなかったこともあり、若い世代になかには最先端の半導体技術の習得はハードルが高い……と感じている人が多いのも事実でしょう。
しかし、そのムードは2023年に入ってから大きく様変わりしています。2024年開業予定のTSMCの熊本工場(JASM)によって、熊本が世界トップクラスの半導体企業の集積地になろうとしていることに加え、2027年に世界トップクラスの「2nm」の先端半導体の開発に乗り出した日本の半導体メーカー「ラピダス」が、北海道の地を主戦場に据えたニュースなど、一大トピックスが様々なメディアで大きく取り上げられ、いまあらためて半導体が大きな注目を浴びています。同時に、産業、高等教育機関、国の産学官一丸となった半導体エンジニアの育成も活発化しています。
とはいえ、半導体関連エンジニアの求人広告の数は激増している反面、半導体関連のエンジニアは枯渇状態にあるため、高待遇を謳ってもなかなか希望にかなう技術者を確保できていない状況にあるのも事実でしょう。その状況は翻れば、エンジニアにとって千載一遇のチャンスととらえることができるはず。
初心者はもちろん、最先端技術を効率的に習得したいと考えている人は、高等教育機関や人材育成支援プロジェクトなどを活用し、効率よく段階的に技術を習得していくことで、半導体の最前線で活躍するチャンスが大きく広がるいま、今回は半導体業界が求めている3つの技術職域にフィーチャーします。
半導体エンジニアと半導体プロセスエンジニアは並列で語られることが多い職種ですが、企業によってはその職域は明確にすみ分けられています。
【半導体エンジニアの職域】
半導体の設計やICチップ内部のレイアウト設計などに携わるエンジニアのことで、CADやCAMを操作し、半導体そのものの設計を担うことが一般的業務です。
【半導体エンジニアの適性】
機械いじりが好き、ものづくりが好きといった純粋な気持ちが何より大切です。優秀な人ほど周囲から信頼され、仕事量が多くなる傾向にあるため、プレッシャーをエネルギーに転換させてしまうようなポジティプな性格の人が向いています。
【半導体エンジニアに求められるスキル】
一定レベルのプログラミング技術や、システム設計、ロジック設計、レイアウト設計のスキル、さらに、CADやCAMの基礎操作は半導体エンジニアにとっての必須の条件になります。
また、世界の半導体企業が開発・製造にしのぎを削るなか、生成AIの台頭など驚くべきスピードで先端半導体が進化を遂げ、そのニーズが急増していることからも、いかなる変化にも柔軟に対応できるよう、日頃から広範な技術スキルを学んでおきましょう。
さらに、安全性や品質、生産性にポイントを置いた設計が求められるため、品質と生産性を効率的に両立させるPDCAのフレームワークを学んでおけば業務で大いに役立つはずです。
そのほか、設計上で役立つ電子・集積・認証回路、元素、化合物、マイクロプロセッサに関する基礎知識を学んでおいて損はないでしょう。
【半導体エンジニアの年収】
日本国内で働く技術者と比較して、半導体業界で働くエンジニアの平均年収はおしなべて高めに設定されていますが、半導体エンジニアは企業や前職、年齢などによって差はあるものの、求人広告では600万円~900万円、650万円~1000万円、500万円~900万円といった年収が多く提示されていて、高待遇の傾向にあります。
半導体製造の上流工程の中心を担う専門職に位置づけられることが多い半導体プロセスエンジニアは、主に半導体を安定的に量産するための生産計画の策定や、設備・管理面における生産スケジュールの策定・管理に従事し、製造の生産効率・品質向上に携わります。
【半導体プロセスエンジニアの職域】
半導体の製造プロジェクトにおける全工程を客観的な視点で評価・監視し、予算・時期・市場動向に基づいた計画を立案します。そのうえで計画にいく度も修正を加え、半導体エンジニアとともに設計を完成させ、実行、体制の構築、改善点の洗い出しなどを担うことで計画通りに製造を推し進めます。
【半導体プロセスエンジニアの適性】
半導体エンジニアと同様に機械いじりが好き、ものづくりが好きな人ほど、半導体プロセスエンジニアに向いているといえますが、確実に業務を推進する真面目な人ほど適性が高いといえます。
例えば、半導体プロセスエンジニアをめざしてキャリアアップをはかりたいと考えいる人であれば、半導体だけでなく広範な関連スキルを養う必要がありますし、異業種から転職を考えている人であれば、半導体に固執せず、ものづくりの現場での実務経験や、製造現場のマネジメント経験があると優位です。
また、ミスやインシデント回避も重要な職責となるため、大局的に物事を俯瞰できる視点、周囲の人と上手にコミュニケーションを図りながら円滑に協働するといった、総合的な人間力も求められます。
【半導体プロセスエンジニアに求められるスキル】
半導体に付随した技術スキルに加え、創意工夫、マネジメント力、円滑なコミュニケーション力が求められます。半導体プロセスエンジニアの場合、海外の企業やエンジニアと協働プロジェクトに参加する機会が多く、英語での資料作成や日常的に参考文献に目を通すことが多い点からも、TOEIC600点以上(または同等レベル)のビジネス用語学力は必須のスキルとされます。
加えて、変革期にある半導体業界の最前線に立つうえで、技術専門誌や経済誌、ネットなど様々なシーンから最新情報の収集に努め、日頃からアンテナを張りめぐらせておくことも重要です。
【半導体プロセスエンジニアの年収】
ものづくりでの実務、CADやCAMを使った実務、原料・コスト・品質・生産性などの観点に立った製造現場のマネジメント実務など、過去の職歴や職位が報酬に反映されますが、一般的に30代前半で500万円〜600万円、40代以降は700万円〜1000万円超を提示されるケースが多く、他メーカーで働くエンジニアと比較して、平均年収はトップクラスの順位を誇ります。
半導体メンテナンスエンジニアは、半導体装置のメンテナンスに従事する専門職です。ご存じのとおり半導体製造装置のシェアを見ると、日本は世界でも揺るぎない地位を築いていて、現在のランキングは米国、日本、オランダ3カ国の寡占状態にあります。
そのため日本国内では製造装置市場の存在感が大きく、半導体製造装置メーカーとして世界的に突出した存在として知られる東京エレクトロンを筆頭に、アドバンテスト、SCREEN、日立ハイテク、Kokusai Electric、ニコン、ダイフクなどの半導体装置専門メーカーが全国に製造拠点を展開しています。
【半導体メンテナンスエンジニアの職域】
半導体メンテナンスエンジニアの仕事は、初級・中級・上級にすみ分けられ、その違いは大きく下記のようになります。
●初級/製造装置の定期メンテナンス
半導体製造装置は、ハード・ソフト・薬液・電気・ガスなどを扱う多種多様なパーツによって構成されています。装置が長時間休みなく稼働することでパーツは汚染・消耗し、それが原因で製品不良や装置エラーが発生するため、定期的なメンテナンスが必須です。具体的な作業としては各パーツを工具で外し、装置内の清掃やパーツの交換・補修を行い、作業終了後に正常稼働を確認します。
●中級/製造装置のトラブル対応・修理・改善・改造
製造装置に故障・トラブルが生じた際にはその原因を突き止め、迅速に修理します。ソフトのエラーやパーツ同士の相性の悪さなど、根本的な部分に原因がある場合は、システムや装置の改善・改造などにも対応し、安全衛生、機械、電気、ソフト等の幅広い知識と経験を必要とします。
●上級/新しい製品に対応した製造ラインの立ち上げ
新しい半導体製品に適した製造装置の選定・導入、工場への設置など、ラインを稼働させるまでのサポート業務を行います。装置メーカーに立ち合う際には工場内でパーツを組み立て、組立完了後は電気やガスなどを装置に供給し、正常に稼働しているかを確認します。
【半導体メンテナンスエンジニアの適性】
半導体製造における各工程設備の保守保全、業務・生産性改善、新規設備の導入、トラブルシューティングに携わることが多い半導体メンテナンスエンジニア。製造装置の定期メンテナンス業務は広範におよび、専門的な知識をもとに適切に作業を求められることからも、プレッシャーを跳ね返す精神力や根気強さが求められます。
【半導体メンテナンスエンジニアに求められるスキル】
求人広告では「学歴不問」「未経験者歓迎」といった条件も多く、実際に半導体メンテナンスエンジニアとして働いている人の多くが未経験者であるともいわれています。よって、半導体業界で活躍したい人にとって、半導体メンテナンスエンジニアは門戸が広い職種といえるでしょう。
もちろん企業によって職域は異なりますが、自社製品と取引のある顧客の現場(フィールド)に出向き、要望に応じたサービスを提供することが多い点から、会社を代表して取引先とリレーションを築く責任も伴います。そうした点から、円滑に業務を遂行するコミュニケーション力や折衝能力が求められます。
【半導体メンテナンスエンジニアの年収】
国内各地に数多くの半導体装置メーカーの製造工場があるため、勤務地に伴うIターン、Uターン、移住などを踏まえた働き方を選択する人が多い傾向にあります。求人広告を出す企業を調べていくとわかりますが、誰もがその名を知る業界大手が名を連ねていることも多く、勤務地や企業ブランドから働き口を取捨選択できることも魅力でしょう。
気になる年収は、企業や職位等によって異なるものの、20代で350万円〜、30代〜400万円〜800万円、40代以降は500万円〜900万円と、他の半導体関連技術者と同様に高い傾向にあります。
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