皆さんは「QC検定」という民間の検定制度(認定資格)をご存じですか?
「品質管理(Quality Control)検定」の略称として知られるQC検定とは、製品やサービスの品質管理に関する知識を客観的に評価する試験で、一般社団法人日本品質管理学会の認定を受けて、日本科学技術連盟と日本規格協会が主催となり、全国規模で毎年2回(3月・9月)試験を実施しています。検定は上位から1級~4級のレベルが設けられ、合格者にはそれぞれの等級に応じて、品質管理の手法や考え方、実践や改善などの知識を有することが認定されます。
ここ近年は、従業員にQC検定を推奨している大手企業も多く、製造業やサービス業で働く人を中心に受験者数も年々増加。直近(2022年3月)の試験は約4万人が受験し、2005年の検定開始以来、認定資格の取得者(合格者)は累計44万人を超えています。
そこで今回は、製造業における品質管理の重要性とともに、ますます注目の高まる「QC検定」にフォーカス。検定の活用が進む背景や、各等級(1~4級)の受験対象者・難易度、認定資格を取得するメリットなど、押さえておきたいポイントを詳しく見ていくことにしましょう。
品質管理(Quality Control)とは、自社製品の製造やサービスを構築する際に、一定基準の品質を備えているか、不適合品や不備・不良がないかを検査・検証し、その品質を保つための組織活動を指します。
たとえば、自動車部品メーカーの工場であれば、パーツの加工・組立作業や、検査・測定の精度のばらつきをなくすなど、製造プロセスにおいて不良品の発生を防ぐことが基本的な活動となります。また、製品に不適合品が含まれていた場合、なぜ不良が発生したのか、どの工程で問題が発生したのかを現場サイドで確認・分析し、すみやかに対策を講じることが求められます。
しかし、品質管理の不備により製造現場で不適合品が見落とされ、市場に出荷されて重大事故や消費者への被害が発生してしまうと、リコールや製品回収・廃棄に伴う損失だけでなく、これまで培ってきた企業のブランド力や、社会的な信頼を失うことにもなるのです。とくに、工場の生産ラインで多くの従業員が分業する製造現場では、各人の作業や意識にばらつきがあっては高い品質を保つことができません。
そこで、従業員の品質意識向上のために活用されているのが「QC検定」です。検定の受検を機会に、従業員一人ひとりが品質管理の知識を養い、合格すればそのスキルが評価・証明されますので、個々のモチベーションや現場の対応力もアップ。企業としても各人の品質管理能力を見極めて人材を適所に配属し、品質不良によるトラブルやリスクを低減できるため、従業員のQC検定を推奨・サポートする動きは、今後もますます広まっていくでしょう。
先述したように、QC検定には品質管理や改善のレベルに応じて、上位から1級(準1級)・2級・3級・4級の等級が設けられています。単に品質管理といっても、その仕事において「どのポジションで、どのような問題を解決するのか」によって、求められる知識の範囲や量、深さなどが異なるからです。
各級とも受験資格などの制限はなく、誰でも・どの等級からでも受験できますが、当然ながら、等級によって問われる知識のレベルや難易度も異なりますので、受験の際には自分に適した等級を選ぶことが重要です。
では、各等級のレベル(求められる能力)と、受験に適した対象者を見ていきましょう。
組織内の諸問題を品質管理の側面から分析し、具体的な解決手段を提案・主導する能力が求められます。品質管理部門・技術系部門のリーダーや、企業内において品質管理全般に関わる管理職などが対象となります。
※準1級は1次・2次試験のうち、1次試験のみ合格した場合に認定される等級
「QC七つ道具 ※」などを使って、基本的な品質管理や改善活動を自立的に実施できる能力が求められます。品質管理に関わる部署のリーダーや、改善活動をリードしているスタッフなどが対象となります。
※QC七つ道具/品質管理の分析・改善をサポートする7種類のフレームワーク(親和図法・連関図法・系統図法・マトリックス図法・PDPC法・アローダイヤグラム・マトリックスデータ解析法)のこと
「QC七つ道具」の手法をはじめ、基本的な品質管理の実践方法や改善方法を、知識として理解していることが求められます。職場の問題解決や品質管理に携わるスタッフ、品質管理について学ぶ学生などが対象となります。
社会人として最低限知っておくべき仕事の進め方や、品質管理に関する基本的な用語を理解していることが求められます。これから企業で働く人や派遣社員をはじめ、一般の大学生、高専生、高校生なども対象となります。
直近に実施された第33回QC検定の各等級の受験者数・合格率は以下の通りです。やはり等級が上がるほど難易度も高くなっており、とくに最上位の1級は合格率が10%以下の超難関となっています。
品質管理の実務経験者から高校生まで、幅広い層を対象にしたQC検定ですが、認定資格を取得する最大のメリットは「品質管理の知識を段階的に習得できる」という点です。
検定はレベル別になっているため、初心者でも品質管理の知識をゼロから習得し、4級から上位の等級へと継続して勉強・受験することで、より専門的かつ実践的な品質管理のスキルを身に付けることができます。
また、QC検定の認定資格は、「品質管理のスキルが、等級の水準にあるという証明」になります。組織活動に欠かせない品質管理のスキルは、製造業においてはもちろんのこと、あらゆる業種の企業・職種で活用できるため、転職や就職の際にも大きな強みとなります。とくに1級や2級の上位資格は専門性が高いため、キャリアアップによる昇給や待遇面の向上も期待できるでしょう。
── いまや品質管理の手法は、製造業をはじめとする多くの企業で取り入れられ、組織や社会を支える重要な活動に位置づけられています。
製造業への就職・転職やエンジニアを目指している方も、ぜひこの機会に品質管理の知識を養うQC検定に挑戦してみてはいかがでしょうか。そのスキルは、企業で働く社会人としても、将来にわたってきっと役立つはずです。
※QC検定の受検に関する詳しい情報は「日本規格協会(QC検定)HP」をご覧ください。
日総工産(株)では、品質管理に関するQC検定(品質管理検定)をはじめ、製造現場で役立つ資格の取得を社内で推進。モノづくりへの理解を深める取り組みとして全社員に資格取得を推奨しており、会社が受験料を負担するなどのサポートも行っています。
●QC検定/製造現場での品質管理に求められる能力を評価するための認定資格制度
●機械保全技能士/国家資格である技能検定制度の一種で、機械本体や電気回路の保全、機械のメンテナンスを行うための技能と知識を証明する資格
●半導体製造技能士/国家資格である技能検定制度の一種で、半導体製造に関する学科・実技試験の合格者に与えられる資格
●電気工事士/電気系統の設備保全業務など、電気を安全に扱うための基礎となる資格
●自主保全士/製造オペレーターに求められる知識と技能を評価するための認定資格制度
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