ゲーム好きの人にとっては釈迦に説法ですが、ゲームにはいろいろな種類(ジャンル)があり、これまではソーシャルゲーム(オンラインゲーム)とコンシューマーゲーム(家庭用ゲーム機)に大きく分けられていました。
最近では、スマホにアプリをインストールするネイティブアプリゲーム、アプリをインストールせずにブラウザで楽しむオンラインゲームや、ネットワークとデバイスをつなぐクラウドゲーミング、SNSをプラットフォームにしたゲームなど、コンテンツが多様化によりプレイヤーの裾野はさらなる広がりを見せています。
国内だけで2兆円規模の市場に成長したゲーム業界ですが、コンテンツの多様化に伴って既存のハードメーカーやWebサービス企業がひしめく業界内では激しいバトルロワイヤルが繰り広げられていて、プログラム言語にとどまらず、発想力、独創性、ロジカル性、エンターテインメント性、ビジネス性など、ヒット作を生み出す素養もったゲームエンジニアやゲームクリエイターの争奪戦が勃発しています。
そこで今回は、「RPG」「アクション」「シューティング」「レーシング」「アドベンチャー」の5つのカテゴリ別に、「トピックス」「ゲームの特徴」「求められるスキル」「活躍するエンジニア」を見ていきましょう。
非常に多くの専門職が集結するゲーム業界では、初めて書いた作品が芥川賞を受賞し、ベストセラーを生み出すことがある出版業界とは異なり、どんなに斬新なアイデアを持っていたとしても、ゲーム業界に入ってすぐにゲームプランナーやゲームディレクターになれるわけではありません。
また、自他ともに認めるゲーム好きであっても、アクションゲームで高得点を叩き出すプレイヤーであっても、“好き”と“適性”はまったく別モノであるため、ゲーム好きな人がゲーム制作・開発の仕事で成功するとは限りません。
大成したゲームエンジニアの多くが、プログラミング言語を皮切りに多様なスキルを習得・熟練させ、ゲーム企画ディレクターなどのマネジメント職にキャリアアップしているほか、年収数億円を稼ぐゲームクリエイターへとのぼりつめていきますが、ゲーム業界は一般的に、ハードワークで根気と集中力を要する作業を延々と続けることも珍しくありませんし、この業界で大成する人はわずかなひと握り、という厳しさがあります。
ゲーム業界では、ゲームプログラマを経験してから活躍フィールドを広げていくことが一般的なので、まずは、プログラミング言語の習得がゲーム業界に入るための第一歩になります。
これまでは、「オンラインゲームではC++」「スマホアプリではC#やJavaScript」「コンシューマーゲーム(家庭用ゲーム機)ではC言語」「アプリゲームはSwift、Objective-C、Java、Kotlin」「ブラウザゲームはC言語、java、Python、PHP」など、ゲームのカテゴリ別に使用言語が大別されていました。
しかし現在では、iPhoneのiOS向けアプリのゲームでは以前まで主流だったObjective-Cに代わり、Swift(プログラミング言語)の使用頻度が(AndroidアプリではJavaが主流)高まるなど、カテゴリ、プロダクト、プラットフォーム、システム、さらにはメーカーによっても使用言語が異なる傾向にあります。
また、ロールプレイングゲーム(以下RPG)のカテゴリは他カテゴリのカテゴリと比較して、プログラミング言語の記述抽象度が高い高水準言語が特徴で、Java、C言語、COBOLは必須のスキルになります。また、アクションゲームであれば、アルゴリズムスキル、プログラミング思考、論理演算子(AND、OR、NOT、XOR)などのスキルが求められます。
ではここから、5つのカテゴリ別に、それぞれのゲームの「トピックス」「ゲームの特徴」「求められるスキルと活躍するエンジニア」を見ていきましょう。
■トピックス/自分がプレイヤーになり、仲間と協力して冒険、探索、戦闘を楽しむRPG(Role-Playing Game)は、数あるゲームカテゴリのなかでも最も収益性が高く、世界のモバイルゲーム収益全体の27%※を占めるといわれるビッグマーケットに成長しています。※2022年度
また、日本、中国、韓国の市場でRPGは特に強い人気を誇り、世界シェアのうちアジアの3カ国で世界のRPG収益の70%以上を占めています。
■ゲームの特徴/割りあてられたキャラクターを操作し、仮想空間で次々と起きる試練や難題、探索、戦闘を行いながら、冒険や経験を通して成長を遂げるミッション達成型ゲームです。
■求められるスキル/物語の分岐点での選択や会話によって起こるイベント設計はもちろん、作品の独創性、世界観、ストーリー性を高めるためにキャラのセリフを大量生成するゲームプランナーやゲームシナリオライターは、RPGの開発において非常に重要な役割を担います。多くの場合、分岐制御が組み込まれたプログラムにシナリオを書くことが多いため、プログラミング技術は必須スキルになります。さらに、日頃からトレンドやユーザニーズを収集するアンテナ力や感性もヒット作を生み出す源泉になります。
■活躍するエンジニア/ゲームプランナー、ゲームシナリオライター、ディレクター、2Dデザイナー(アニメーション、背景、キャラクター、アイテム、バナーデザイン)、3Dデザイナー(モデリング、モーション、エフェクト作成)、Webデザイナー、アイコン・ロゴデザイン制作、レイアウト制作、画面設計、プログラマ、SQLデータ分析・抽出、アーキテクチャ、設計エンジニアほか
■ゲームの特徴/「格ゲー」と呼ばれる対戦型格闘ゲームは、アクションゲームのなかに含まれるジャンルのひとつです。アクションゲームには「対戦型格闘ゲーム=格ゲー」「シューティングゲーム」「レースゲーム」「スポーツゲーム」「アクションRPG」「アクションアドベンチャーゲーム」「クライムアクションゲーム」などが代表的なものにあげられます。
■トピックス/バーチャルリアリティやリアルタイムグラフィックスの精度向上など、ハード・ソフトウェアの技術進化が著しいアクションゲームを語るうえで欠かせないポイントが、インド市場での急成長になります。2023年4月に世界最多の人口数を誇る中国を抜き、経済成長が著しいインドでのスマホ契約者数は、日本の人口の約10倍に相当する約12億人。そんなインド国内では、若い人を中心にアクションゲーム熱がヒートアップし、数あるゲームカテゴリのなかでも、アクションゲームがスマホアプリにおける総ダウンロード数は10億回※を突破し、2位を大きく引き離した1位にランクイン。※2019年の数値
■求められるスキル/バトルコンセプト、バトルデザイン、キャラごとの個性を含めたゲームシステム全体のバランスやコンセプトの方向性を決めるバトルプランナーやバトルディレクターがキーマンになります。
■活躍するエンジニア/バトルプランナー、バトルディレクター、バトルプログラマ、Unityエンジニア、フロントエンドエンジニア、サーバーサイドエンジニア、プログラマ、リードエンジニア、システムエンジニア、アーキテクチャ、設計エンジニア、プログラマほか
■ゲームの特徴/戦闘機、宇宙船、ロボットなどを操作しながら、敵や標的を銃やレーザ、ミサイルなどの武器で射撃(shooting)し、キャラの戦闘力を上げていくコンピュータゲームのジャンルのひとつ。深い没入感とアドレナリン全開という快感度の高さから、世界の大型eスポーツの競技にTPS(サードパーソンシューティング)が採用され、2019年の「フォートナイト世界大会」での賞金総額は約32億円に! 世界に約2万人のシューティングゲームの熱狂的ファンがいるといわれています。
■トピックス/プレイヤー本人の一人称視点で戦うFPS(ファーストパーソンシューティング)、主人公の斜めや後ろからの第三者目線で戦うTPS(サードパーソンシューティング)、さらに、戦闘機や飛行機から全方位(360度)を見すえた空間で敵と戦うフライトシューティングの3つに、シューティングゲームは大別されます。
■求められるスキル/攻略が難しすぎても簡単すぎてもプレイヤーの攻略意欲を損なうため、激しく移り変わる場面設定、敵や障害物の複雑な配置、意表を突く攻撃パターンや敵の出現のメリハリ、攻略難度をトータルで設計するゲームデザイナーやゲームプランナーの力量が作品の成否のカギを握ります。
■活躍するエンジニア/ゲームデザイナー、ゲームプランナー、UI・UXデザイナー、2Dアーティスト、2Dデザイナー(アニメーション、背景、キャラクター、アイテム、バナーデザイン)、3Dアーティスト、3Dデザイナー(モデリング、モーション、エフェクト作成)、フロントエンドエンジニア、サーバーサイドエンジニア、リードエンジニア、アーキテクチャ、設計エンジニア、ディレクター、プログラマほか
■ゲームの特徴/レーシングゲームは、モータースポーツをルーツとする歴史あるゲームであり、他のプレイヤーと車などの乗り物のドライビングテクニックを競い、順位やタイムを競うコンピュータゲームのジャンルのひとつです。
モータースポーツが主な設定になるため、マシンごとの性能、駆動システム、ドリフト時のブレーキング等の物理スキル、車のメカニズムスキル、GT、ラリー、NASCARなどのレース用エンジンに関する基礎スキルに加え、マシンやドライバーのリアルな描写もゲームのクオリティを左右する要素となります。
■トピックス/拡大を続けてきたレーシングゲーム市場ですが、今後もレーシングシミュレータ、モバイル(パソコンやスマホ等)、ビデオゲームのプレイコンソール(装置)の各ジャンルでさらなるレーシングゲーム市場の成長が予測されています。
■求められるスキル/サーキットレースやFlの迫力や臨場感、剛体、軟体、流体のリアル感を体感することが、レーシングゲームプレイヤーの最大の醍醐味でもあるため、レースゲームプランナーやレースゲームディレクターにはモータースポーツに関する広範な知識と、三角関数、ベクトル、数学的・物理学などのスキルが求められます。例えば、3D オブジェクトの挙動を司るアクセル・ブレーキ関数のように、位置、角度、大きさを設計する力学、クラッシュ時や横滑り時の運動物理など、細部にわたる精密な計算力もサーキットレースゲームを構成する重要な要素です。さらに、作品にエンタテインメント性の息吹を吹き込むVR等の最新技術も必須のスキルです。
■活躍するエンジニア/レースゲームプランナー、レースゲームディレクター、レースゲームプログラマ、VRエンジニア、2Dデザイナー、3Dザイナー、3DCGデザイナー、UIデザイナー、UXデザイナー、サウンドプログラムエンジニア、リードエンジニア、システムエンジニア、アーキテクチャ、設計エンジニア、プログラマほか。
■ゲームの特徴/プレイヤーの分身である主人公(ヒーロー)がさまざまな経験を積みながら情報やヒントを集め、変化する状況のなかで行動を決め、謎解きと冒険(アドベンチャー)を繰り広げるコンピュータゲームのジャンルのひとつ。
■トピックス/現在はインドや中国などが世界のオンラインアドベンチャーゲーム市場を牽引している状況にあります。今後は、メタバースでの謎解きと冒険によって、よりリアルでより新しい世界観に満ちたアドベンチャーゲームが創出されると予測されている点から、アドベンチャーゲームのファンはさらに増加し、市場はより拡大すると見込まれています。
■求められるスキル/クラシックタイプのアドベンチャーゲームは、物語の分岐点で用意された選択によって、主人公が「生きるか死ぬか」の二者択一で構成されるものが多かったのですが、今日ではプレイヤーの選択によって結末の異なる物語が展開したり、プレイヤー自らが物語の正解を導きだす構造も増えています。こうした変化によって、今後のアドベンチャーゲームの面白さやゲーム性のカギを握るポイントは、ロジカルかつ複雑なシナリオ性にあるといわれています。
■活躍するエンジニア/アドベンチャーゲームシナリオライター、シナリオエンジニア、ゲームコンセプター、アドベンチャーゲームプランナー、アドベンチャーゲーム背景デザイナー、ダイアログシステムエンジニア、2Dデザイナー、3Dザイナー、3DCGデザイナー、サウンドプログラムエンジニア、モデラー、ロリードエンジニア、システムエンジニア、アーキテクチャ、設計エンジニア、プログラマほか
——今回、5つのカテゴリ別にゲームのトピックスや求められるスキルを見てきましたが、eSports市場の急拡大やVR・ARの発展により、ゲーム市場は今後もさらなる成長が見込まれると同時に、変化が著しい業界で競争に打ち勝つには、先端技術を有したゲームエンジニアや、既存の概念を打ち破る独創性や発想力を有したゲームクリエイターが求められることになります。
トレンドを機敏に察知する感性や、先端技術や作品のクオリティへの探究心などが求められるゲームクリエイターやエンジニアは、右肩上がりで成長するゲーム市場で、今後ますます需要が高まる職業であるといえるでしょう。
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